6月のお天気コラム

日本にあってオランダにはないもの

日本では5月21日頃に沖縄・奄美で梅雨入りし、雨の季節が到来しました。梅雨は日本だけでなく中国や韓国など東アジアの国々にもありますが、ご存知の通りオランダにはありません。夏(6月~8月)の降水量は、日本(東京)では6月が最も多くなるのに対し、オランダ(De Bilt)では6月が最も少なくなります。

天気が悪いと話題になりがちなオランダですが、梅雨時ばかりは「日本ではなくオランダにいて良かった」と思う方も多いのではないでしょうか。(私もその一人です。)

そもそも梅雨ってなに?

日本の北側にある「冷たい空気(オホーツク海気団)」と南側にある「暖かい空気(小笠原気団)」がぶつかることで梅雨が起こります。冷たい空気と暖かい空気の境目にできるのが「梅雨前線」。冷たい空気と暖かい空気の勢力が拮抗しているため、梅雨前線が日本付近に停滞し、5月から7月にかけて雨の季節をもたらすのです。

実は、梅雨は世界的には珍しい気象現象で、東アジアの一部の国や地域だけにしか見られません。オランダどころか、同じ日本でも北海道には梅雨がないほどです。

梅雨の訪れにはヒマラヤ山脈やチベット高原、南西モンスーンが大きく関係していて、これらの影響を受ける一部の国や地域だけに起こるのが梅雨なのです。

オランダと日本で異なる「紫陽花」のイメージ

梅雨の花といえば、雨の中でしっとりと美しく咲いている「紫陽花(あじさい)」を連想する方が多いのではないでしょうか。日本で行われたアンケートでは、「紫陽花と聞いて一番に思い浮かぶイメージ」として「雨」と答えた方が7割以上だったそうです。

一方、オランダでは紫陽花は気候の良い季節に咲くため、同じ質問をした場合、おそらく「雨」と回答する方はほとんどいないでしょう。Weeronlineの記事内でも、紫陽花は「Een vrolijke en fleurige plant (陽気でカラフルな植物)」と表現されていました。

江戸時代にシーボルトが日本から持ち帰り広めたことから、オランダでも人気のある紫陽花。オランダと日本のイメージの違いを感じながら、これから訪れる紫陽花の季節をお楽しみください。

参考URL

Snoeiadvies: hoe snoei ik de hortensia?

季節の花アジサイは雨が似合うと思いますか?

プロフィール

竹内青空(たけうち あおぞら)

徳島県出身。2021年よりデン・ハーグ在住。インスタグラム(@aozora_takeuchi)でオランダの天気や生活について発信中。日本ではウェザーニューズに所属して気象原稿作成やラジオの気象情報を担当、千葉テレビでも気象キャスターとして出演していました。