オランダが発明した培養肉の商品化はもうすぐ

もうすぐ研究室で作られていた培養肉が家庭やレストランでも食べられるようになりそうだ。まずは数カ月後に予定されている培養肉や培養魚の試食会である。培養肉は長い間非常に厳しい検査や調査を受けてきたが、ようやく日の目を見ることになる。

培養肉は市場に出回っている大豆などを使った肉の代用品とは全く別物だ。培養肉は、動物の可食部の細胞を組織栽培することによって得られた食用の肉である。動物を屠殺する必要がないので動物の犠牲を減らせること、牛一頭を約2年かけて育てるところを培養肉であれば2か月でできて生産効率が良いこと、厳密な衛生管理が可能であること、食用動物を肥育するのと比べて省スペース省資源で作ることができて地球環境への負荷が低いこと、抗生物質耐性菌リスクを低減できることなどの利点がある。

初めて研究室で培養肉の実験を開始したのはオランダである。20年近く前の2005年から培養肉研究の支援をはじめたオランダ政府は培養肉の研究に4億ドルの資金を提供、その後2022年には6000万ユーロ(約83億円)の資金提供を決定した。

現在、試食と販売が許可されているのはシンガポール、アメリカ、イスラエルなど一部の国だけとなっている。 オランダでも物議を醸していたが、VVD党とD66党は試飲を許可する動議を提出し、昨年の夏、内閣はこれにゴーサインを出している。 

ただ試食については現在厳しく管理されてきたため、これから試食が可能になるということは大きなニュースである。ヨーロッパでは培養肉に関する規則が厳しかったが、この20年間の間に消費者の意識も代わり、環境問題や動物倫理問題もクリアしてきた。さらに多くの企業の参加も培養肉の開発を推進する担い手となった。

オランダの培養肉企業MOSA Meat

培養肉についてWikipedia

(画像:Nature誌)