【寄稿】天気コラムその1: 霧

初めまして。天気コラムを連載させて頂くことになりました気象予報士の竹内青空です。所変われば天気も変わる、オランダと日本の天気には違うところがたくさんあります。天気が悪いイメージの強いオランダですが、それだけではありません。さまざまな角度からオランダの天気について解説していきたいと思います。

こんなにも違う?オランダと日本の霧日数

オランダに来て驚いたのは、霧の日が多いということです。というのも、日本の大都市では霧に出会うことが珍しくなってきているのです。例えば、私がオランダに来る前に住んでいた東京では霧日数が大幅に減少し、特に2000年以降は霧が全く発生しない年の方が多くなっていました。

大都市から霧が消えた要因はまだ未解明な部分が多いものの、都市化の影響が指摘されています。霧には「夜間の冷え込み」が必要ですが、ヒートアイランド現象により朝から夜にかけて気温が下がりづらくなったことが一因と考えられます。

オランダも霧の出る日が減ってきてはいるものの、それでもまだ比較的多く残っています。霧を観測しているオランダ第二の都市Rotterdamの霧日数(平年)を見てみると、一年のうちに霧の日が74.6日間もあり、特に秋は24.2日間と最も多くなっています。

なぜ秋に霧が発生しやすいのか?

秋に霧が多い理由は、夜が長くなるにつれて朝晩の気温がぐっと下がり、空気中の「水分」が霧として現れやすいためです。それならば夜が一番長い冬に多くなりそうですが、秋の方が霧の元となる「水分」が空気中にたくさん含まれているため霧の日が多くなるという訳です。これは、秋はまだ海水温が高く、海から「水分」をたっぷり含んだ空気がやってくることが影響しています。

夏の暑さから一転、今週は秋らしい空気に入れ替わりました。このあとは秋の風物詩「霧」の日が次第に増えていきそうです。霧で季節の歩みを感じながらも、車や自転車の運転など見通しの悪さにはくれぐれもお気をつけください。

参考:オランダ王立気象研究所(KNMI)、気象庁

プロフィール

竹内青空(たけうち あおぞら)

2021年よりオランダ在住中。インスタグラム(@aozora_takeuchi)でオランダの天気や生活について発信中。日本ではウェザーニューズに所属し気象原稿作成やラジオの気象情報を担当、千葉テレビでも気象キャスターとして出演していました。