ベルギー 世界無形遺産「バンシュのカーニバル」

2003年に「人類の口承および無形遺産の傑作」として世界遺産に登録された「バンシュのカーニバル」、このヨーロッパで一番有名なカーニバルといわれる祭りはブリュッセルから南に60キロほどの中世のたたずまいを保つ街、バンシュ(Binch)で3日間に渡って開催される。 街の1000人もの男性がひげに眼鏡をかけた「ジル」という愛称で知られるマスクときらびやかな衣装をつけ登場する。 このジルになることができるのは生粋のバンシュ人のみとされており、またその特注で作られる衣装代には70万円相当が費やされるそうだが、皆文句も言わず自腹で支出するという。

それほど街の人たちの誇りと名誉をかけて続けられているこの祭り、記録では1394から残っており、この祭りに登場するジルの起源は、1549年にこの地方を統治していたハンガリー人が催した宴に、当時征服したインカ帝国の服装をした踊り手を登場させたことが始まりといわれている。 ジルは1m近い大きなダチョウの羽飾りがついた帽子をかぶって、木靴を踏み鳴らしながら踊る。

祭り初日は「マミゼル」という豪華絢爛なパレードが行われ、街の中心を仮装した人々が練り歩く。(主に女装した男性たち)

2日目は「子供と若者たちの日」で、さまざまなグループに分かれた街の若者たちが仮装し、手回しオルガン奏者と共に10時から賑やかにダンスを始める。 15時にはグランプラスに集まり、観衆にオレンジを配る。 19時からは駅の周辺で花火が予定されている。

祭りの最終日である3日目は、いよいよこの祭りの主役である「ジル」が登場する。 ジルとは道化師のことで、各自オレンジの入った籠を持ち歩き、群集に向かって春の到来を祈願するため投げてくる者もいる。 そのオレンジをうまくキャッチできれば幸運が訪れるといわれている。 8時半にジルたちは仮面をつけ駅からパレードが始まる。 ジルたちは陽気に靴を鳴らしながら歌い、踊りながら進む。 その後15時にはグランプラスに終結し、大きなダチョウの毛で装飾された帽子を被った“ジルのダンス”が始まる。 そして21時過ぎからはグランプラスで花火があがりクライマックスを迎える。

「バンシュのカーニバル」(Carnaval de Binch)
開催日:2014年3月2日(日)、3日(月)、4日(火)
開催場所:Binchの街全体
*この日は街中のパーキングは駐車の規制予定。 駐車の詳細はホームページのパーキングインフォメーションからダウンロード可。