2023-01-25
オランダの死亡者数依然として高く。コロナが要因?それとも?

中央統計局が発表した数字によると2022年の死亡者数が平均を依然として上回っている。おそらくコロナ感染が影響していると見られる。とくに2022年の7月、8月、9月の死亡者数は多かった。同局によれば、コロナ禍の初めのころは、感染者数と死亡者数が平行線をたどっていた。しかし2021年末から2022年にかけては状況は変わり、死亡者数が通年で増えている。
同局によれば、特に転倒後に死亡した人の数の増加が、継続的な過剰死亡率の要因の一つだという。そのシェアも第 3 四半期に増加している。転倒が原因で亡くなる人は主に80歳以上。とくに認知症の人が多いという。
CBS によると、7 月から 9 月にかけて、4 万人近くが死亡し、そのうち 1,468 人 (3.7%) が COVID-19 によるものだった。超過死亡率は、COVID-19 による死亡数よりわずかに多かっただけなので、コロナが原因とは言い切れない。と同局は説明している。ただし、間接的にコロナが影響している可能性もある。「たとえば、コロナ禍で他の病気の治療が遅れ死亡するというケースもある。また一度コロナに感染すると体力が落ち病気への抵抗力が下がる。特に高齢者に顕著だ。」ただしこれについては統計は出ていない。さらに、昨年は2度のインフルエンザ波があったことも指摘される。
ちなみに世間で流布されている「ワクチン摂取による死亡者数の増加」というのは、全く根拠がないと中央統計局の専門家は強調している。国立衛生研究所と中央統計局は「ワクチンはコロナに感染しても悪化による死亡を防ぐものだと証明されている」という調査結果を昨年国会に提出してしている。
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2022-12-21
コロナ感染者数横ばい状態

コロナ禍は収まったように見えるが、いまだに感染する人は少なくない。
オランダ国立衛生感染研究所(RIVM)によれば、新コロナウィルスの感染者数は横ばい状態にある。また入院患者数も変わらず、先週は347名だった。ここ7日間でRIVMに登録されたコロナ検査陽性者吸うは5900人と先々週に比べ1.5%増。 ただし、この数字は保健所(GGD)でのコロナ検査で陽性となった人の数であるため、実際にはもっと多い。セルフテストの数はRIVMの統計には反映されていない。
現在一番感染が多いのはオミクロン変種の中のBQ.1というウィルス。RIVMによればこのウィルスがしばらくは主流となりそう。この変異種による感染が、以前の変異種よりも重症化するという事例はまだないという。
検査での陽性反応の数が、パンデミックの危険度を測る尺度にならなくなった現在、RIVMは別の方法で感染の度合いを調べている。排水の中にウィルスがどれだけ含まれているかを調べる方法である。若干の増加はあるものの、過去のコロナ禍時に比較すると低い状態だという。
さてワクチン接種状況だが、先週ブースターを打った人は43,000人とこれまでの毎週50,000人台を下回っている。
2022-12-02
コロナ後の飲酒運転増える

オランダでは飲酒運転者が増えている。警察は今年の10ヶ月の間に3万6千人に罰金を課している。これは2021年の12ヶ月間の合計である31,600件より多い。
警察が捕まえているのは、飲酒運転者だけでなく、ドラッグや医療用の薬を使用して運転している人も同様だ。さらにアルコールテストを拒んだ人も同様。飲酒運転で逮捕されると、血液中のアルコール%により、最高で1年の禁固刑か7800ユーロの罰金と免停。
飲酒運転者が多いのはリンブルグ州(36%の増加)とヘルダーランド州(35%増)である。全土でも2021年と比較し14%増えている。
この増加の原因はまだ調査の段階だが、「アフター・コロナ」が引き金となっていると見る向きが多い。ロックダウン中、外で飲食ができなかった人たちが、こぞって外で飲み、失われた時間を取り戻そうとしているのかもしれない。
とくに若者のアルコール摂取量は減少していないのが目立つ。2021年に飲酒運転で捕まった人の3分の1は25歳以下という数字がある。オランダの公共交通機関は充実していないため、どうしても車で外出するという人が多いようだが、基本的に飲酒運転は禁止されている。
警察によれば、今年の夏休みは国外よりも国内旅行をする人が増えたため、国内の交通違反も増えているという。これが飲酒運転の増加にもつながっているらしい。オランダでもこれから忘年会やクリスマスシーズン。飲酒運転者も増えそうなのでご注意を。
2022-10-06
秋のコロナ波はどのくらい深刻なのか

オランダ国立衛生研究所RIVMによると、今秋のコロナの波が本格的に始まったという。感染者と入院患者数は急速に増加している。しかし以前のロックダウンや各種の行動制限が再度実施されるかというと、状況はかなり違っている。
1. ロックダウンの導入は現実的か?
政府は国家主導のロクダウンは行わないと決定している。以前のロックダウンは病院や老人施設での感染を防いだが、社会的被害は甚大だった。若者の間でうつ病が大幅に増加しており、その多くが依然として自殺願望を持つという。結論からいうとオミクロンの亜種によるロックダウンはありそうもない。ワクチン接種率が高く、ほとんどのオランダ人がコロナ感染を経験しているというため、ウィルスに対する耐性ができている。
2. 現在施行されている行動規則は?
現在、法律で義務付けられている行動規則はない。たとえば、公共交通機関でのフェイスマスクの着用義務などの最新の措置は、昨年の春に失効している。
ただし、頻繁に手を洗うこと、肘で咳やくしゃみをすること、自主的にコロナテストすること、十分な換気を確保すること、および繰り返しワクチン接種を受けることなどは政府が推奨している。
3. 措置を講じる場合、政府の決定方法は?
RIVM のコロナ対応チームは、疫学的状況を評価するために 2 週間ごとにミーティングを開催し結果を政府と共有する。非常に感染度が高く重篤化するような新しい変種が出た場合など、政府に対し可能な制限措置について助言する。
しかし政府による対策は出さないことが基本であるため、個人あるいは企業が独自に対策を講じることになる。
4. コロナが再度蔓延した場合、医療制度の崩壊の危険は?
今月から、これまでのアウトブレイク・マネージメント・チーム(OMT) と同様な新しい諮問機関が設立されている。ソーシャル インパクト チーム (MIT) です。このチームは、人々の自由を制限する措置が検討される際に、社会的および経済的利益に注意を向けるという。これまでのようにすぐにロックダウンという選択よりも、社会的、経済的な面を重要視する。
つまりICU患者が増えて病院が危機に陥っても、緊急ロックダウンと、長期的に生活の質を守ることとの間の道徳的なジレンマについて、公開討論を組織するよう、このMITは助言している。
2022-06-15
夏にまたコロナ禍再開か?

コロナウィルスの感染がまた広まりつつある。先週実際に保健所で検査を受けた人の15,526人が陽性と先々週の64%増だった。国立衛生感染研究所(RIVM)は、オミクロンの変異株がオランダを席巻しつつあると発表した。ただし入院者数に変わりがないことから、重症化はしない可能性が高い。感染者が多いのがアムステルダム近郊、ユトレヒト、オランダ中部である。この変異株はオミクロンBA4とBA5と呼ばれるもの。
ポルトガルではBA5感染者が6月初めから爆発的に広まり47人が死亡している。オランダではこの変異種による死亡者は1名。ポルトガルではすでにピークを越したと見られているが、オランダではこれから増加が予想されている。
オミクロンはBA.1, BA.2, BA.3, BA.4そして BA.5という亜変異株があるが、オランダではこのBA2が優勢だ。しかしRIVMはBA.4とBA.5の増加を見ている。これらの2つの亜変異株は、先週の終わりに合計の半分以上を占めている。BA.4とBA.5はBA.2よりもわずかに伝染性が強い。「その結果、それらはより容易に広がり、優位に立つことができ、免疫系生成する抗体をバイパスすることができる。」とウィルス専門家のマリアン・コープマン氏。
コープマン氏によれば、ワクチンも遅かれ早かれこの新種に対応するワクチンが必要となる。既存のワクチンが依然としてオミクロンに対し有効だが、防御の期間は以前より少し短い、と彼女は説明している。しかし、それはがBA.4またはBA.5に感染するのを防ぐという意味ではない。「新しい変異体は、免疫系が産生する抗体をよりうまくバイパスすることができる。」
今後新しい変異種が出るたびにワクチンを接種し続けねばならないのだろうか? このウィルス専門家は、「ワクチンを接種しても感染のリスクはある。しかし感染しても重症化を防げる。」コメントしている。
2022-05-30
政府のコロナ助成金を受けたKLM、条件に従わず

コロナ危機で政府の助成金34億ユーロ(約4500億円)を受けていたオランダKLM航空が、政府が課した条件を遵守していないことが判明した。条件は15%の構造的コストを削減することだった。KLMは2024年までに4億ユーロのコスト削減を行わねばならない。しかし、これまでになんの措置も取られていないだけでなく、ここ数ヶ月は逆にコストが増大していると政府の報告書。2週間前には5%の給与値上げが実施されている。
さらに1月に発表された政府の監督機関の報告書によれば、国外に住むパイロットとCAが脱税をしていることが判明している。KLMによれば、「社内の居住と仕事場に関する規則に従っている。」という。
オランダ政府は、コロナ危機の最初の数か月間、34億ユーロの銀行保証でKLMを支援している。そのうち、10億ユーロ弱が使用された。KLMは先週、パートナーのエールフランス航空との間で19億株の新株をリリースすると発表している。これにより、22億6000万ユーロが得られるはず。
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