「心と身体と愛が大事」整体の神成さんのオランダ移住

K: 　日本では東京の八王子で2店舗ほど経営しておりました。整体はその字のごとく体を整えるという施術です。ただその方法は施術をする人の技術、方針そして哲学によって大きく異なります。私も15年間整体を行ってきて、いろいろ勉強したり考えたりと試行錯誤で今のような形に進化しました。整体、カイロ、脳神経、脊髄神経、体液循環などの基本はもちろんですが、私の施術では、頭蓋骨と内臓の調整も行っております。

K:　内臓の調整と聞くと少し怖いイメージや何をするんだろう？と思われるかもしれませんが、胃下垂（いかすい）という症状は聞いたことがあると思います。胃下垂は文字通り、胃が本来あるべき位置から下へさがっていってしまう症状です。これと同様に、他の内臓も位置がズレてしまっていたり、ズレが原因で血行不良になっていたりするのです。

そのズレた内臓の位置を正しい位置に戻し、内臓を少し刺激することで様々な症状を根本改善する。それが、当院の内臓調整になります。
パソコンやスマートフォンの使用でどうしても姿勢が前かがみになる時代です。内臓も圧迫されて変な所へズレていても何もおかしくないんです。
ただし、そのまま放置したのでは健康にはなれません。よって、内臓の調整は健康になるために、とても重要な要素なんです。

K:　そうです。また、心（精神状態）も体に大きな影響を与えることは忘れてはならないと思います。心と体を考え、調べているうちにとある理論へたどり着きました。それが、TMS理論です。TMS理論は精神的苦痛に人間は耐えることができない。よって、精神的苦痛を伴う時、人間は肉体に痛みを発生させ、精神的苦痛から目を背けさせる特性があるというもの。

K:　私の心理学の基礎となっているNLP（神経言語プログラミング）です。NLPはミルトン・エリクソン（催眠療法）フリッツ・パールズ（ゲシュタルト療法）バージニア・サティア（家族療法）の3人の天才セラピストを分析し作られた心理療法です。
それでもしっくりこなかったので、哲学本も読むようになります。プラトン、ショーペンハウアー、ニーチェ、キルケゴール、サルトル、ホッファーなどから影響を受けました。私の整体には、上記の哲学者の思想なども盛り込まれているんです。
特にショーペンハウアーは「人間の幸福の9割以上は健康が前提になっている」と言っております。健康は幸福のもとです。

K:子供の教育です。私達夫婦には18歳、9歳、6歳と3人子供がおります。上ふたりは男の子。そして一番下が女の子です。下の子がもうすぐ小学校にあがるというときにふと考えたのです。日本って女の子、そして女性にとって最悪な国なのではないか？　ということです。今の日本、女性は働き、家事を行い、子育てをひとりで担っています。ほとんどの男性はどこ吹く風で外で働くだけ。もちろん例外もありますが、こういうのが当たり前の世界ですよね。それと、性教育がちゃんとなされていない。なんの教育を受けず、間違った情報だけを鵜呑みにしていれば、女の子は被害者、男の子が加害者になりかねない。これを危惧しました。それで、長女が6歳になったときに、移住を決意したのです。18歳の長男は日本でロボット工学を勉強中なので、妻の実家から学校に通っています。

K：このまま日本にいて後悔するより、チャレンジしたほうがいいと思ったからです。幸い子どもたちはすぐオランダ生活に慣れ、言葉もわからないのにサッカークラブで活躍するなど、楽しんでいるようです。
私もこれからオランダ語にチャレンジし、オランダの人にも施術したいと思っています。もちろん、最近は翻訳技術が進んでいるので、ある程度はコミュニケーションは可能ですが。

K:　妻は寿司職人なんです。ですから、技術を生かして今後はどこかで働くか、ケータリングを始めればいいかなと思っています。