光熱費の下降が予測されるが、原発増加
国際エネルギー機関(IEA)は年次報告書で、住宅断熱、太陽光パネル、ヒートポンプの普及により、今後数年間でEU諸国などの世帯の平均エネルギーコストが下がるとの見通しを示した。
ただし、所得の低い人々はこうした省エネ投資を行いにくく、恩恵を受けにくいというリスクも指摘している。
IEAは各国政府に対し、脆弱な家庭の省エネ化支援により多くの資金を充てるよう提言。CO₂排出への課税(例:ガソリン税)を通じて財源を確保することを提案しているが、現状ではその税収が十分に再投資されていないという。
報告書によると、現行の政策では地球の平均気温上昇は1.5℃の上限を超える見込みであり、2050年まで石油やガスの需要も増加し続けると予測される。各国がより迅速な脱炭素化を進める必要がある。
一方、主要経済国が気候目標を達成した場合、EU世帯の年間エネルギー費は現在の平均4,061ユーロから2035年には約3,542ユーロへと約500ユーロの減少が見込まれる。政策が現状維持のままなら、省エネ化の進行は遅れ、2035年の家計負担は上記シナリオより平均6%高くなるとされる。
IEAは、住宅の断熱など初期費用を複数年に分散(ローンなど)して負担する前提で試算している。
また、報告書では現代を「電気の時代」と位置づけており、再生可能エネルギーの中でも太陽光が最も急速に拡大すると指摘。電力網の拡張投資が世界的に不足しており、2015年以降、発電投資が約70%増加した一方で送電網への投資はその半分にも満たないという。
さらに、停滞していた原子力発電への関心も高まりつつあり、2035年までに世界の原子力供給量は3分の1以上増えると見込まれている。