牛肉の値上がりが顕著。BBQの季節に一撃

先月値上がりした商品やサービスの中で、特に目立ったのが牛肉と子牛肉。
6月には、肉屋やスーパーマーケットでの牛肉の価格が前年同月比で26%も上昇した。専門家によると、この大幅な値上がりには2つの主な原因がある――家畜の病気と、縮小する家畜頭数である。

卸売業者も価格の急騰を実感している。「この3か月で、牛肉の仕入れ価格はほぼ50%上昇した」という。

特に、ハンバーガー用のパティやミンチ肉といった安価な牛肉製品の価格が上がっており、「これからバーベキューシーズンが始まるというのに。ステーキなんて、もう多くの人にとって手が出せない値段になる」と続けている。


子牛の数が減少
価格高騰の一因として、家畜の病気「ブルータング(青舌病)」がある。昨年、オランダや他の欧州諸国でこのウイルス性疾患がたびたび発生しr。ブルータングにかかると、牛はインフルエンザのような症状を示し、時には死に至ることもえう。

ブルータングにかかると繁殖力も落ちる。そのため、昨年生まれた子牛が少なく、今年の市場では供給が減少している。これは欧州全体に共通する傾向だ。供給が減る一方で需要が変わらなければ、価格が上がるのは当然だ。


構造的な家畜頭数の減少
さらに、ヨーロッパ全体で牛の飼育数が年々減少している。この供給の構造的な減少も、牛肉価格の上昇を後押ししている。牛は多くの温室効果ガスを排出するため、EUでは環境負荷を減らす観点から、牛の飼育数削減が進められている。

オランダで屠殺される牛の多くは「引退した乳牛」だがその乳牛の数も減りつつある。というのも、世代が進むにつれて牛の乳生産量は1~2%ずつ向上しており、同じ量のミルクを得るのに必要な牛の数が減っているからだ。これも供給減と価格上昇につながっている。


ビーフステーキが2枚減る未来
ヨーロッパ全体が小規模な畜産への移行を目指しているのは確かで、この傾向は続く見込みだ。

欧州委員会は今後、肉の消費量も減少すると予測している。これは、肉食を倫理的に避けたいと考える消費者が増えているだけでなく、価格の上昇により購入を控える人が増えるためだ。

10年後には、欧州人1人あたりの年間牛肉消費量は平均9.2キロになると予想されている。これは現在よりも年間600グラム、つまりビーフステーキ2枚分少なくなる計算である。