オランダの製造業界危機、倒産増える

現在、オランダで最も倒産が多いのは製造業などの工業セクターである。高騰するエネルギー価格や外国企業との競争により、工場の閉鎖が相次ぎ、業界全体にさらなる打撃が予想されている。
最近では、タタ・スチールやダウ・ケミカルでの大規模なレイオフ、ロッテルダム港周辺での工場閉鎖、そしてフレーデスタイン社によるエンスヘデ工場の閉鎖などのネガティブなニュースが続いている。シェルやサビックなどの大企業も、オランダ国内の化学事業の見直しを進めている。
オランダの中央統計局(CBS)のデータによると、精製業、化学工場、輸送機器メーカーは特に売上の減少が著しく、2023年末には前年比で10%以上減少していた。
オランダの工業セクターは、約80万人を雇用し、GDPの約10%を占める重要な存在だが、課題は山積だ。人手不足、規制の多さ、人件費の高さ、そして不安定な政策が、企業活動を圧迫している。
最大の障壁はエネルギー価格
工業界が最も苦しんでいるのは、エネルギー価格の高さである。オランダでは電力1メガワット時あたり平均95ユーロと、周辺国に比べて数十ユーロ高い。特にエネルギーを大量に消費する製鋼業や化学工場にとっては大きな痛手である。
海外からの競争も深刻
さらに、中国など海外からの安価な製品との競争も激しく、オランダ国内の企業は価格競争に敗れて倒産する例が後を絶たない。プラスチックのリサイクル業者や化学企業トロノックスなどもその一例である。
政治の対応と今後の課題
政府は電気料金の割引延長や、プラスチック税・CO₂課税の見直しなどに取り組んでいるが、業界団体は依然として抜本的な対策が必要だと訴えている。
また、人手不足に対処するために、海外からの労働者受け入れを円滑にする制度の維持・改善も求められている。
将来の設備投資を見据えて、企業は10年~20年先を見て行動するため、政府には一貫性ある明確な政策が求められる。安定した政策があってこそ、オランダが投資先として他国より有利になると業界関係者は訴えている。