欧州議会、米国の関税に激しく対抗

アメリカのトランプ大統領が導入した輸入関税に対し、欧州議会では強い反発の声が上がっている。議員らはこの関税政策を「脅迫」「いじめ」と非難し、EUは対抗措置を講じるべきだと主張している。しかし、実際にどのような対抗策を取るべきかについては意見が分かれている。

トランプ氏はアメリカ経済保護を名目に、欧州製品を含む幅広い輸入品に対して高関税を課した。これにより、EU製品は米国市場で割高となり、消費者が米国製品を選ぶ傾向が強まっている。

ブリュッセルはすでに報復措置の意向を示しているが、その具体的内容は未定である。欧州議会ではこの問題を巡って激しい議論が交わされ、オランダの緑の党議員エイクハウトは「愚かで危険なゲーム」と批判し、EUは「いじめっ子にひるむべきではない」と訴えた。

一方、極右政党はトランプ氏を政治的同志と見なしており、強い非難は避ける姿勢を見せている。彼らはトランプ氏の経済保護の姿勢に理解を示し、EUも同様の対策を取るべきだと主張している。特に欧州グリーンディールのような環境規制が企業の競争力を削いでいるとして、厳しい批判を浴びせている。

欧州委員会も対米強硬策には慎重で、先に発表していた報復関税は一時停止されている。これは交渉による合意を模索するためであり、現在両者は関税の削減を目指して交渉中である。

一方で、アメリカはEU製品の70%に関税を課しており、さらにトラックや半導体、医薬品など6品目への新たな関税を検討中である。これが実現すれば、対象はEU製品全体の97%に及ぶ可能性がある。

EUはすべての工業製品への関税撤廃を提案する一方で、アメリカ製品が欧州で流通しやすくなるよう認証規則の見直しにも柔軟な姿勢を見せている。ただし、交渉が決裂した場合には、報復関税やアメリカの巨大IT企業に対する措置など、あらゆる対応を辞さない構えである。

さらに、EUはアメリカの関税を世界貿易機関(WTO)に提訴する可能性も示唆しているが、同機関はトランプ政権の影響で2019年以降機能不全に陥っており、効果的な対応ができるかは不透明である。

EUはまた、カナダ、日本、南米諸国など他の国々との自由貿易協定締結にも期待を寄せており、現在多くの国がEUとの取引強化に関心を示しているという。