自主退職したピザ職人に数千ユーロの支払い

通常、即時解雇は雇用主の側から行われる。たとえば、従業員が窃盗を働いたような場合などの緊急の理由が必要だ。しかし、場合によっては従業員の側から即時退職することもできる。この場合、退職の通知期間を守る必要はない。
重要な理由が必要
ただし、その際には正当な理由が必要になる。たとえば、雇用主が従業員に法律違反を強要する場合や、賃金を支払わない場合などが該当する。今回問題となったのは、2017年1月から厨房でピザ職人として働いていた従業員に関するケースである。
新しいオーナーによる経営継続
このピザ店は2024年8月に新しいオーナーに引き継がれ、別の名前で営業が続けられていた。ピザ職人は引き続き勤務していたが、2024年12月23日、クリスマス直前に即時退職をした。というのも、彼が4か月の間に受け取った賃金はわずか1000ユーロ(現金で500ユーロ、振込で500ユーロ)であり、明らかに本来受け取るべき額に満たなかったからである。
ピザ職人はこの件について新オーナーに何度も指摘していたが、「財政的に厳しい」との回答しか得られなかった。しかし、裁判所はそれを賃金を支払わない正当な理由とは認めなかった。加えて、月払いではなく週払いにするという提案について、従業員が同意する義務はないとした。
ピザ職人は新オーナーと時給15ユーロで合意していたため、月額では2,587.25ユーロ(総支給額)となる計算である。
無断欠勤と病欠の扱い
雇用主が賃金を期日までに支払わなかったことから、裁判所は10%の追加支払いを命じた。ピザ職人は支払いがないことに不満を持ち、2024年11月に1週間無断で欠勤した。その後、11月23日になって病欠の連絡をした。この1週間分については、賃金請求から差し引かれることとなった。
裁判所の判断
裁判所は、オーナーに対し1万ユーロを超える未払い賃金の支払いを命じた。加えて、5,424.88ユーロの損害賠償と、移行手当(トランジション補償)の支払いも追加した。さらに、ピザ店側は訴訟費用として768ユーロも負担する。このようにして、ピザ職人への賃金未払いは、結果として高くつくものとなった。