シェアダイニングの流行で、レストラン苦境

最近のアムステルダムでは、「シェアダイニング(料理の共有)」が一般的になりつつある。これまでオランダ人は一人一皿で、他の人とはシェアしないスタイルが主だったが、最近では和食や中華やタパスなどの影響でシェアするのが一般的になりつつある。 ただ、これがレストランにとって問題になっている。例えば、4人グループが前菜3品だけを注文し、それをシェアして数時間滞在するといったケースだ。または、カップルがメイン料理1品とサイドディッシュ1つを分け合うことも珍しくない。
このような「ダイナミックな外食スタイル」は、もともとレストラン側が「小皿料理」「シェアできます」とメニューに記載して奨励していたものの、現在では客側がそれを利用して極力安く外食を楽しむ手段として広がっている。
レストランオーナーにとっては死活問題だ。例えば、アムステルダム南地区のレストラン「Petit Péché」のオーナーは、「4人組が前菜3品を分け合い、しかも『お腹いっぱいにならなかった』と文句を言われた」と話している。こうした利用法では利益が出ず、店の継続が難しくなる。
さらに、インスタ映えのために新しいレストランを訪れるだけの若者も多く、注文は少なく、目的は「写真を撮ってアップすること」。その結果、一晩の予約枠が1杯のワインと前菜1品で終わってしまうという事態が起きている。
こうした背景には、「一日中スナックを食べるライフスタイル」や、「物価高で財布の紐が固くなった消費者心理」があると専門家は指摘している。
一部のレストランでは対策も取り始めている。例えば、「Bouchon du Centre」では、「前菜をメイン料理として注文する場合は追加で5ユーロ」「シェアする場合は追加料金」といった明確なルールをメニュー裏に記載している。また、今後は「予約時に最低注文金額を設定」したり、「人気の時間帯に席料を取る」など、より戦略的な運営が検討されている。