ドラマ『アドレセンス』、SNSの闇を描き学校の教材に

イギリス発のヒットドラマ『Adolescence(アドレセンス)』が、中等教育機関で無料上映されることになった。このドラマは、同級生の少女殺害容疑をかけられた13歳の少年を描いており、社会の注目を集めている。オランダの「映像と音の研究所」は、配信元のNetflixと連携し、ソーシャルメディアや同調圧力について学ぶための補助教材を開発する。
この取り組みは、すでに同様の導入を進めているイギリスの先例に倣ったもの。イギリスのスターマー首相は先日、「Adolescenceはすべての学校で上映されるべきだ」と発言し、それを受けてNetflix UKが学校向けに同作を無料提供することを決定した。
オランダではGroenLinks-PvdA(緑の左派・労働党)の議員カトマン氏が提案者となり、12歳以上の生徒がこの作品を通じて扱われているテーマを理解し、自身の思考力や抵抗力を育むことを目的としている。「教室でこのドラマを視聴・議論することで、若者が安全な環境の中で自らを守れるようになり、“マノスフィア”に巻き込まれることを防げる」とカトマン氏は語る。
“マノスフィア”とは、極端な男性性を称賛し、時にはあからさまに女性蔑視的な主張をするウェブサイトやブログ群を指す。アンドリュー・テートのような“マンフルエンサー(manfluencer)”たちは多大な影響力を持ち、欧州各国の若年層男子に女性嫌悪的な考えを植え付けている現状がある。
全4話構成のこのドラマでは、ミラー家の生活が中心に描かれる。息子ジェイミーが突然、恐ろしい事件の容疑者として扱われ、家族の平穏が崩れていく。ジェイミーは親の目の届かないSNSの世界で過激な思想に染まっていったとされ、物語はその背後にある社会問題にも踏み込んでいる。