オランダ政府、災害時に備え72時間分の食料や水を

オランダ政府は、災害時に市民が少なくとも72時間(3日)自力で生き延びられるよう推奨している。 当初は48時間分の備蓄が推奨されていたが、現在は72時間が基準となっている。
必要な備蓄品の例:
- 水:1人あたり9リットル(1日2リットルの飲料水と調理・衛生用)。
- 食料:缶詰の野菜や豆類、ナッツ、ドライフルーツなど、調理不要で長期保存可能なもの。
- ラジオ:電池式または手回し式のもの。
- 照明:手動充電式懐中電灯、長時間燃焼可能なろうそく、マッチ。
- 救急箱:鎮痛剤、下痢止め、脱水症状対策の塩分パック、ピンセット、包帯、ハサミ、絆創膏、止血帯など。
- 毛布:避難時に備えて、軽量で保温性の高いサーマルブランケット。
- 笛:緊急時に救助隊や周囲に自分の居場所を知らせるためのもの。
- 現金:停電時に備えて、小額紙幣で100ユーロ程度。
- 工具:マルチツールやしっかりとしたナイフ。
- 衛生用品:消毒ジェル、生理用品、トイレットペーパー、歯磨きセットなど。
- 身分証明書と連絡先リスト:重要な電話番号のリストと身分証明書のコピー。
これらのアイテムは、防水性のあるバックパックなどにまとめ、緊急時にすぐ持ち出せるようにしておくことが推奨されている。
さて考えられる災害とはどんなものなのだろうか。政府や専門家が想定している災害とは以下のようなものだ。
洪水(高波・堤防決壊)
オランダは国土の多くが海面より低いため、大雨や堤防の決壊による洪水が最も現実的かつ深刻なリスクのひとつだ。洪水によって電気や水道、交通が止まることがある。
大規模停電
電力システムの障害やサイバー攻撃などにより、広範囲の停電が数日間続く可能性がある。冬場には暖房も使えず、情報の入手も困難になる。
サイバー攻撃
重要インフラ(電気、交通、水道、通信)を狙ったサイバー攻撃により、社会機能が麻痺する可能性がある。これによりATMやインターネットが使えなくなり、物流や医療が滞る恐れがある。
有害物質の流出(化学事故)
産業地帯での化学工場の事故や輸送中の有害物質の漏洩によって、屋外に出られない「屋内退避」が必要になることもある(いわゆる「shelter-in-place」)。
突風・暴風雨(極端気象)
気候変動により、激しい嵐や竜巻のような突風が発生し、短期間で多くの被害が出る可能性もある。
火災や爆発事故
都市部ではガス爆発や大規模な火災もリスクとなる。避難が難しい場合、自宅での一時的な自主避難生活が必要になる。