1万年前の海面上昇、現在の温暖化対策にヒント

科学者のグループが、海面が急速に上昇したのが最後の氷河期直後だったことを発見した。彼らは約1万2000年前の北海の泥炭層を分析し、当時の海がまだ陸地だったことを明らかにした。このデータは、現代の気候変動を理解するのに役立つ。
現在、イギリス・オランダ・デンマークに囲まれた北海は波に覆われているが、数万年前には人々やマンモスの群れが歩いていた。その地域は「北海のアトランティス」とも呼ばれる「ドッガーランド」であり、最後の氷河期が終わった約1万2000年前に海に沈んだ。
科学者たちは、1万年前に海面が1世紀あたり約1メートルの速さで急上昇したことを発見した。これは現在のオランダ沿岸の海面上昇(1世紀あたり30センチメートル)よりもはるかに速い。この急激な変化は、北アメリカの氷床が溶け、氷河湖が決壊したことによるものだった。
海面上昇の詳細な地質学的証拠
過去1万1000年から3000年の間に、海面は合計38メートル上昇した。
研究チームは、ドッガーランドの海底にある泥炭層を音波探査で特定し、ボーリング調査を行った。特定の植物の種子(例えば葦の種)を分析することで、土地がいつ水没したかを特定できた。この調査により、氷床が温暖化に素早く反応することが示され、従来の予測よりも速い可能性があることが分かった。
現代の気候変動への影響
この発見は、現在の気候変動研究にも貢献すると考えられる。地質学者マルク・ハイマによると、海面上昇の速度を明確に示すことで、将来の予測の不確実性を減らし、政策決定に役立つという。
現在の海面上昇は、人口増加とインフラの発展により、古代とは異なる影響によるものだ。オランダでは、すべての堤防を少なくとも1メートル高くするか、海水の上昇に適応する必要があると考えられている。また、世界の平坦な地域では、海が数十キロメートル内陸に侵入する可能性があるため、迅速な対応が求められている。