オランダの保守ロビイストの国際的影響力の拡大

ヘンク・ヤン・ファン・スホトホルスト(Henk Jan van Schothorst)は、オランダ出身のキリスト教保守派のロビイストで、近年、国際的な影響力を強めている。彼は元々欧州議会のキリスト教政党SGPの政策担当者だったが、2020年以降、活動の場を欧米から世界規模へと拡大。特にアフリカや南米において、LGBTQ+や女性の権利制限を推進するロビー活動を展開している。
彼は2017年のドナルド・トランプ大統領就任式に招待されるなど、アメリカの保守派との強い繋がりを持つ。さらに、オランダの極右政党フォーラム・フォー・デモクラシー(FVD)や、トランプ派のテレビ司会者タッカー・カールソンとも交流がある。
アフリカでの影響力と議論を呼ぶ活動
スホトホルストの活動は特にアフリカで顕著であり、ウガンダの反同性愛法成立に関与したとされる。2023年にウガンダで開かれた家族価値観をテーマとする会議では、同じくキリスト教保守派のロビイスト、シャロン・スレーターと共に講演。これにより、同国のLGBTQ+への厳しい弾圧を後押ししたと批判されている。
また、彼はEUとアフリカ諸国の貿易協定(ACP協定)に反対し、「西洋の文化的帝国主義」と非難。アフリカの指導者たちに対し、LGBTQ+の権利や性教育の推進は自国の文化に反すると説いてきた。
ロシアとの関係と資金提供疑惑
スホトホルストの活動には、ロシアからの支援の可能性も指摘されている。アメリカのウォール・ストリート・ジャーナルによると、2023年のウガンダ会議にロシア政府が30万ドルを提供していた。さらに、ウガンダのムセベニ大統領は2022年にロシアを訪れ、プーチン大統領と会談。「反植民地主義の戦いにおいてロシアは味方だ」と発言している。
国際社会の懸念
スホトホルストは国連やEUにもロビイングの拠点を持ち、国際会議に参加しているが、彼の活動には人権団体や研究者から批判の声が上がっている。オランダのNGO「Justice for Prosperity」の調査によると、彼のロビー活動は「人権を侵害し、少数派の権利を制限する」ことを目的としているとされる。
スホトホルスト自身は「家族、生命、自由を守る活動」と主張しているが、ロシアの資金提供や極右勢力との関係については「知らない」との立場を崩していない。しかし、彼の影響力は今後も拡大し続ける可能性がある。
参照記事:Volkskrant