テスラ車に乗るのが恥ずかしい、マスク・シェイム

オランダは欧州の中でも電気自動車そしてテスラの販売台数が高い。タクシーの多くがテスラであるというのも市場での成功を物語っていた。しかし、今ではテスラを乗っていることは一種の恥となりつつあり「イーロンが頭がおかしいことがわかる前に買った車です」(I bought this before we knew Elon was crazy) というステッカーが売れている。

イーロン・マスクの自動車ブランド「テスラ」の株価が激しい勢いで下がっている。同社は「ビリオネア・クラブ」(時価総額1兆ドル〈約9500億ユーロ〉を超える企業の集まり)から脱落した。

テスラの株価がさらに下落した要因の一つは、欧州での販売がほぼ半減したことだ。2025年1月の販売台数は10万台を下回り、前年同月比で45%減少した。欧州連合(EU)市場では、販売台数が50%以上も落ち込んでいる。テスラのEU市場シェアも1.8%から1%へと急激に縮小した。

テスラの業績低迷は、圧倒的な中国メーカーとの競争の激化が一因とされている。加えて、欧州の景気低迷により企業や消費者が支出を控えていることも影響している。さらに、新モデルの登場を待つ消費者も多いと考えられる。

マスク・シェイム

アナリストたちは、テスラの不振の背景には「マスク・シェイム(Musk-schaamte)」の影響もあると指摘する。この現象は、環境への配慮から飛行機を避ける「フライト・シェイム(飛び恥)」に似たもので、マスクの政治的言動を理由にテスラの購入を敬遠する動きが広がっているという。

特に、マスクが米国政府への干渉を強めたり、欧州の極右政党と関係を深めたりしていることが影響しているようだ。

電気自動車専門サイト「Electrifying.com」が先月末に実施した調査では、電気自動車の潜在的購入者の60%が「マスクのイメージが悪いため、テスラの購入を見送る」と回答している。同サイトのディレクターであるジニー・バックリー氏は、「テスラは電気自動車の普及に大きく貢献したが、マスクの個人的ブランドが市場の分断を引き起こしている」と分析する。