バクテリアからたんばく質を作るアムスのスタートアップ。食のシリコンバレーを目指す。

オランダ・アムステルダムのスタートアップ企業「ファームレス( Farmless) 」は、家畜や乳製品を使わずにバクテリア由来のタンパク質を醸造する技術を開発している。現在、試験醸造施設で生産を進めており、将来的にはアムステルダム港に本格的な工場を設立する計画だ。

このタンパク質は発酵によって生成され、すでにケーキやパンケーキの材料として利用可能である。創業者の アドナン・オナー 氏は、「味も良く、栄養価が高い」と述べており、特に ビタミンB12 を豊富に含む点が特徴だ。今後、プロテインシェイク市場への参入も視野に入れている。

生産プロセス は、バクテリアが CO₂ や水素由来のアルコール、窒素化合物、ミネラルを原料としてタンパク質を作る。これは古くからある発酵技術を応用したものであり、特定の 遺伝子組み換えされていないバクテリア を使用している。

スケールアップの課題 もあり、大量生産にはエネルギーコストの削減が不可欠だ。特にバクテリアの栄養源であるアルコールの生産には 水素エネルギー が必要であり、現在はコストが高い。しかし、オナー氏は 安価な太陽光エネルギーが普及すればコスト削減が可能 だと楽観視している。

今後の展望として、2027年までに商業生産を開始 し、まずは 高タンパク製品市場(プロテインシェイクやヨーグルト) に参入する予定である。オランダを「食品イノベーションのシリコンバレー」と位置付け、持続可能なタンパク質製品の普及を目指している。