米ロのウクライナ和平交渉で除外されたEU。オランダの反応は?

アメリカのヴァンス副大統領は14日、ドイツ・ミュンヘンで開かれた安全保障会議で演説し、欧州大陸が直面する最大の脅威はロシアや中国ではなく「(欧州)内部から」来るものだと、欧州の民主主義を痛烈に批判した。さらに15日、米ロ当局者が和平交渉の開始に向け、近くサウジアラビアで会談する予定であることが明らかになった。この和平交渉には当事国であるウクライナ、そして支援国であるEUは含まれていない。

これを受け、17日フランスのマクロン大統領は欧州の首脳を集めて会議を開催し、今後の方針について討議した。

トランプ米国によるEU無視と非難は、オランダではどのように受け止められたのか。

ヴァンス副大統領の嘘で固められたスピーチ(*)に喝采を送ったのは、オランダの第一党である極右の自由党(PVV党)だ。ウィルダース党首は「素晴らしい」と絶賛し、ウィールド・デュク議員は「的を射ている」「新しい風だ」と称賛。「世代交代(Generationswechsel)だ」とまで言う者まで現れた。もちろん、極右政党支持者以外のオランダ人はヴァンスのスピーチを不快で不当であると考えている。

EU首脳会議ではオランダはウクライナへ派兵することに賛成したが、ウィルダース氏はこれに反対し連立政権の土台崩壊の兆しが見えてきた。

* ヴァンス副大統領のスピーチには(EUはヘイトコンテンツを理由にソーシャルメディアを遮断しようとしている、ドイツでは反フェミニズム的な投稿をした人々が逮捕されている、スウェーデンでは政府がコーランを燃やしたキリスト教活動家を有罪にした、そしてイギリスでは中絶クリニックの外で「平和的に」祈っていた男性が罰金を科された)などの事実とそぐわない事例が多数織り込まれていた。