オランダ発、革命的な自転車のライト

「通常の自転車のライト実は間違った方向を照らしている」。新型自転車ライト「Ziemi」の発明はここから始まった。この革命的な自転車ランプは自転車に乗る人の動く脚を照らすことで、暗闇での視認性を大幅に向上させた。
「Ziemi」は従来のヘッドライトのように前方を照らすのではなく、ライダー自身を照らす仕組みになっている。ハンドルに取り付けられたライトは、ライダーの太ももに向けて光を放ち、通常の自転車ライトと併用する形で使用される。
まるで移遊園地のアトラクションのように、視界の下の方で繰り広げられる光の動きは目まぐるしく、従来の前照灯や赤い尾灯には比較にならないくらい明るい。事故が完全になくなるとは言えないが、少なくとも視認性の低さが原因になることはなくなるだろう。
より高い注意喚起効果
Ziemiの特徴は、その光の動きにある。ライト自体が点滅するのではなく、ライダーの動く脚が光を受けてちらつくように見えるのだ。これにより、ライダー自身も常に何かが動いている感覚を得られる。
この仕組みは「バイオモーション(biomotion)」と呼ばれ、人間の特徴的な動きを可視化することで、瞬時に「人」として認識される効果を持つという。開発者の一人であるルシ・サンテマは、「バイオモーションにより、ライダーがすぐに人間として認識されるため、視認性が向上し、他の道路利用者の注意を引きやすくなる。その結果、夜間の交通安全が大幅に改善される」と説明する。
サンテマは子どもの頃から発明家を夢見ていた。彼女がZiemiのアイデアを思いついたのは、自転車配達員の視認性について研究していたときだった。「舞台俳優は自分が目立つために光を浴びる。そのことに気づいたとき、『自転車のライトも同じ発想で作れないか?』と思ったんです。それがZiemi誕生のきっかけになりました。」
自分自身がスポットライトを浴びる
サンテマによると、このライトは反射素材の衣服よりも優れているという。「反射素材の衣服では、車のヘッドライトが近づいて初めてライダーが見える。しかし、その時点ではすでに手遅れな場合も多い。我々のライトを使えば、周囲の光に頼らず、自分自身がスポットライトを浴びている状態になる。」
この「逆転の発想」のライトが安全性向上に寄与するというのは、発明者だけの意見ではない。最近、4人の専門家による実地調査が行われ、その結果をもとに研究機関TNOが正式にこの製品を承認した。
調査では、田舎と都市の両方で「発見距離」「認識距離」「発見のしやすさ」「認識のしやすさ」が評価された。TNOの最終結論は、「Ziemiを使用することで自転車の視認性が大幅に向上する」というものだった。また、ライダーの脚の明るさ(輝度)は通常の10倍にまで増加することも確認された。