乳幼児のRSウィルス感染拡大

オランダの病院には現在、多くの乳幼児がRSウイルスによる深刻な呼吸器症状で入院している。RSウィルスとは? どのような症状が出るのか、治療法は、予防は?

RSウイルスの概要

  • 何か: RSウイルスは鼻や喉に感染する呼吸器ウイルスで、特に乳児や小児に影響し、肺にまで感染が拡がると細気管支炎や肺炎を引き起こす可能性がある。
  • 感染経路: 咳、くしゃみ、会話による飛沫や手を介して伝播する。ウイルスは体外で数日間生存するため、手洗いが重要となる。 日本語による詳細はこちら

症状

  • 一般的な症状: 鼻水、咳、耳の痛みや炎症、発熱など。通常は1週間以内に回復する。
  • 重症例: 乳児では呼吸困難、胸郭の陥没、咳、粘液過多、飲食量の減少が見られ、場合によっては呼吸停止状態となることもある。

危険性

  • 特に早産児、心臓疾患を持つ子ども、ダウン症児、成人では高齢者や心肺疾患患者がリスクグループである。
  • オランダでは毎年100人に1人の乳児が入院し、1000人に1人が集中治療を受けている。

治療法

  • 専用の治療薬はなく、主に呼吸サポートと水分・栄養補給が中心だ。重症例では酸素療法や人工呼吸が行われる。

予防方法

  • 手洗いや咳エチケットを徹底する。
  • 風邪症状のある人は乳児と接触しない。
  • オランダでは2025年11月から、乳児へのRSウイルス予防ワクチンが国家予防接種プログラムに追加される予定。

成人の影響

  • 健康な成人ではインフルエンザ様の症状を引き起こすことがあるが、免疫力が低下している場合には肺炎など重篤化する可能性がある。
  • 2023年、欧州医薬品庁(EMA)は60歳以上の成人や妊婦向けのワクチンを承認した。妊婦が接種すると新生児も保護される。

RSウイルスは特に乳幼児や高齢者にとって危険性が高いため、適切な予防と早期対応が求められる。