オランダ政府も子どものスマホ利用に懸念
幼い子どもたちにスクリーンを長時間使用させるべきではないという認識が広がっている。オランダでの今年の目立つ動きの一つが、学校でのスマホ禁止令の導入だ。この規則により、授業中の生徒たちの集中力が向上し、会話も増えたと教師たちは評価している。またこの施策をきっかけに、スクリーン利用を減らそうとする社会的な動きも加速していると専門家は指摘している。
一方、子どもたちのスクリーン利用時間は依然として長く、9か月から1歳の幼児でも平均1日1.5時間、4歳から6歳では2時間を超えている。中高生になると1日に数時間もTikTokなどのソーシャルメディアに釘付けという子どもも少なくない。世界保健機関(WHO)は、2歳未満の子どもには一切スクリーンを見せるべきではないと推奨し、2歳から5歳でも1日1時間以内に抑えるべきだとしている。過度なスクリーン利用は、運動能力や言語発達、安全な愛着形成、視力の健全な発達に悪影響を及ぼす可能性があると警告されている。
特にソーシャルメディアの利用は、依存や注意力の低下、自尊心の喪失、外見に対する不安など、多くの問題と関連している。技術的なデザインが依存性を高めていると指摘されており、子どもだけでなく大人でもその影響を受けている。
一方で、ソーシャルメディア自体は悪ではなく、情報提供や創造性の促進といった利点もあるため、慎重な対応が求められる。現在、技術企業は若者向けの安全な機能や親の監視を強化する方向に動いているが、社会からの圧力を受け対応が遅れている。
オーストラリアでは16歳未満のソーシャルメディア利用を禁じる法律が施行されるが、オランダでは一部の党を除き、禁止までは考えられていない。ただし、安全性を向上させるため、アプリやサービスの設計変更が求められている。年齢確認の技術やプライバシーを保護しながらの規制について、欧州でも議論が進んでいる。専門家たちは、単なる規制ではなく、根本的な設計の改善が必要だと主張している。