緊急時に備えるオランダ人増加
NATOによる危機警告
NATO事務総長に就任した元オランダ首相のマーク・ルッテ氏は昨日、初の大規模演説で、NATO加盟国の国民に直接呼びかけ、ハイブリッド攻撃やサイバー攻撃、インフラの妨害などが西側社会に直接的な脅威を与えていると指摘現在の安全保障状況の深刻さを強調した。NATO諸国に最低でもGDPの2%を防衛費に充てる目標を掲げつつ、それでは不十分であると指摘。さらなる支出増と、防衛産業の生産性向上を促した。
こうした呼びかけは今回が初めてではない。先週、防衛大臣のブレケルマンス氏も、戦争、洪水、パンデミック、重要インフラの長期間の停止など、危機的状況に対して市民が備えをする必要性を訴えている。
ピーク時の現象
「現在、通常の10倍のオンライン注文が入っている」と話すのは、緊急時の備品を販売する専門店「プレップショップ」のオーナーだ。近年、こうした商品の需要が増加しており、現在では注文に追いつけない状態だという。
「その時になれば考える」
しかし、こうした行動はオランダ人の一般的な傾向を反映しているわけではない。世論調査会社Ipsos によれば、50カ国を対象とした調査で、オランダは緊急時の備えが非常に低い水準にある。オランダ人の4分の3は「今日を楽しみたい。明日起こることはその時に考えればいい」と答えていいる。
将来に向けた意識改革
この状況を変える必要があると考える政府は、2025年に全国キャンペーンを実施し、市民が脅威に備えるために何をすべきかを伝える計画だ。例えば、緊急用キットの準備である。赤十字によれば、最低限必要なものは飲料水、保存可能な食品、ラジオ、モバイルバッテリー、ホイッスル、そして救命シートなど。日本での災害用の必要用品とほぼ変わらない。