乳がん検診では発見されないリスク
女性のがん検査改善に向けた取り組み、議論続く – オランダ
オランダでは、7人に1人の女性が乳がんを発症している。政府は乳がん、大腸がん、子宮頸がんの検診を無料で行っているが、このうち乳がんに関しては50歳以上の女性に対しマンモグラフィ検査を2−3年に1度するよう招待が届く。
ただ高密度乳腺組織を持つ女性では、マンモグラフィーのみでは悪性腫瘍の発見が難しく、毎年約8万人の女性がリスクについての情報を得られていない現状がある。放射線科医はMRI検査の利用を推奨しているが、設備や人材不足が障壁となっている。KWFがん協会は、8%の女性が非常に高密度の乳腺組織を持つと指摘し、「早急な対応が必要」と訴えている。
女性の高密度乳腺組織に関する検査改善を目指すカレマンス国務長官は、努力を約束しつつも、実現の確約には慎重な姿勢を示している。
政治と感情が交錯
カレマンス国務長官は、自身の母親が16歳の時にがんで亡くなった経験を語りながらも、政治的制約に直面していると説明。一方で、与野党からは「女性が自分の身体に関する情報を得る権利がある」との声が強く上がっている。特にD66のウィーケ・パウルスマ議員は、迅速な対応を求め、「命を救えるチャンスがある」と強調した。MRI検査の年間コストは2500万ユーロと見積もられている。
他の健康問題も議題に
さらに、オランダでは現在55歳以上が対象の大腸がん検査を50歳からに引き下げる案も議論されており、医療予算の配分が課題となっていいる。
がん検診で異常なしと判断されたとしても、違和感を感じた場合にはすぐに家庭医に相談したほうがいい。