外国人の住宅需要、オランダの不動産市場に影響
アムステルダムとその周辺地域での住宅内覧者の約60%が外国人であることが、Het Parool紙の調査で明らかになった。この傾向は、不動産価格の上昇や地元住民の競争激化を招いており、不動産市場への影響が注目されている。
外国人の増加と住宅購入への影響
アムステルダムでは近年、海外からの知識労働者や学生、その家族などの外国人住民が急増している。2022年には約69,000人の知識労働者がアムステルダムに住み、その数は毎年8%以上増加している。外国人には高収入者が多く、30%の税制優遇措置も相まって、住宅購入時に地元住民より有利な条件で取引が進むことが多い。
不動産市場での競争激化
調査によると、外国人は地元の若年層と並んで住宅購入を積極的に行い、特に高所得の外国人は価格交渉や即時購入の条件で優位に立つケースが多い。また、自由賃貸市場でも外国人の需要が増え、オーナーが高収入かつ短期間で退去する傾向のある外国人を好む傾向が見られる。購入時も外国人オーナーは、提示価格の5-10%高めでオファーしている。3−5年後には他国へ移る可能性もあり、その際の販売時には利益が出ることを予想しての購入だ。アムステルダム中心部では50平米の物件の提示価格が475,000ユーロでもこれ以上をオファーするのが当たり前だという。賃貸物件も同様で、月額2500ユーロと提示されていた物件が最終的に2800ユーロまで上がることもある。
地元住民への影響と懸念
外国人の住宅需要の増加により、地元住民が住宅を購入・賃貸しにくくなる状況が進んでいる。さらに、英語表記の広告や外国人を対象とした条件が目立つなど、地元住民が不公平感を抱く場面も多い。専門家は、外国人の影響で家賃や不動産価格が上昇していると指摘している。
市場の変化と課題
最近の規制変更で一部の短期賃貸契約が制限される中、賃貸オーナーは外国人を優先する傾向を強めている。また、購入市場ではオランダ人バイヤーの一部が外国人との価格競争に勝てない状況が続いている。オランダの不動産市場は今後も外国人需要の影響を受けると予想され、地元住民の住宅確保が引き続き課題となりそうだ。