オランダの男女賃金格差、女性は年内残り“無給”状態
オランダでは、「イコール・ペイ・デイ(Equal Pay Day)」を迎え、女性が年内残りの日々を「無給」で働いているかのような賃金格差が浮き彫りになっている。労働組合FNVによると、オランダの女性は男性と同じ収入を得るためには47日余分に働く必要があるという。
女性の方が低賃金・交渉困難の現状
セキュリティ業で働くファン・デンベルグさんは、同僚の男性よりも多く夜勤を割り当てられたことから、自分の給与が「安価な労働力」として扱われていると気づいた。また、男女で同じ職務にもかかわらず、女性の賃金は男性よりも低く、昇給交渉も通りにくいことがわかった。彼女は賃金格差を訴え続けたが、改善には至らなかった。
男女賃金格差、EU全体で続く問題
CBSによれば、オランダの女性の平均時給は男性より12%低く、業種や職位を調整しても「説明できない差」が6%残っている。また、Bloombergの調査によると、EUで現在のペースのままでは男女が同賃金に達するのは2086年になる見込みである。
交渉の難しさと業界の偏り
ハーバード大学の研究によると、女性は昇給を求めた場合、男性よりも否定的に評価されることが多い。また、「Sullerotの法則」によれば、女性が多い業種では賃金が低くなる傾向がある。さらに、オランダでは特に企業における女性の管理職進出が少なく、多くのトップ職がパートタイム勤務を許容していないことも原因とされる。
EUの「賃金透明性指令」での改善期待
2023年、EUは賃金の透明性を促進する新たな指令を採択した。企業は男女の給与差が5%以上ある場合、理由を示すか是正措置を取る必要がある。オランダでも賃金格差解消に向けた制度改革が求められている。