「高収入のオランダ人は他のグループと交わらない?!」隔離主義が進むオランダ
両親がオランダ人(オランダ生まれ)で高収入の人のほとんどは、自分のグループ内にとどまっている。中央統計局(CBS)が行った調査の結果である。このグループは他のグループと完全に切り離されていて、自分に似た同じような背景をもつ人たちとしか交わらない。
本日発表されたCBSの報告書は、自分とは違った背景を持つ人達とどのくらい接触するのかについて調査したものだ。調査は、近所の人、学校の友人、会社の同僚、家族などのカテゴリーをくまなく探ったもので、この隔離スコア(Segregation Score)で、ゼロ(同じ背景の人がいない)から1(同じ背景の人だけと接触する)を示した。
このスコアを見ると、生粋のオランダ人の平均は0.35であるのに対し、モロッコ系では0.22、そしてスリナム系では0.15、トップ20の収入があるオランダ人では0.42となっている。
これはオランダに住んでいると肌で感じている人も少なくないはず。いわゆる高学歴・高収入エリートと呼ばれる生粋のオランダ人のグループは、表面的には外国人にも接触するがそのグループには他の人種は入りにくい。オランダ以外の背景を持つグループは他のグループにも寛容であることが多い。
これまでの社会学的調査でも、オランダ人(ここでは両親がオランダ人である土着の人)は一般的に裕福になればなるほど他のグループと交わらなくなる傾向があった。
外国人、とくに駐在員や知識労働者といったエキスパートと呼ばれる一時的にオランダに住む人達の隔離(Segregation)は逆だ。収入が高ければ高いほど、他のグループと交わる傾向がある。「裕福な地域や高賃金の仕事が多い労働環境では、オランダ系以外の出身者が比較的少ないというのがこの背景にある」と述べた。
ダイバーシティが叫ばれる時代だが、オランダでは2009年からこの隔離(Segregation)が進んでいるというデータもある。とくにトルコ人やモロッコ人の両親を持つオランダ生の第二世代は、自分たちのグループにとどまっている。この背景には、学校がますます隔離(Segregation)主義に走る傾向があるからだとする専門家もいる。
ラトバウト大学のトルスマ助教授によれば、「この傾向は社会レベルでの人種差別の危険性を表している。それは二極化につながる。グループ同士がほとんど出会うことがなくなり、同時に社会に圧力をかけることになる。人々は互いの意見に耳を傾けなくなり、それは民主主義にとって危険だ。」という。
「アパルトヘイト」がオランダ語であることは示唆的である。
参照:CBSの調査の詳細、Volkskrant