フェルメールの「聖プラクセディス」約10億円で落札されるが真贋はいまだ不明
オランダの誇る画家ヨハネス・フェルメールが描いたとされる作品「聖プラクセディス」が昨夜ロンドンのオークションハウスにて785万ユーロ(約10億円)で落札された。オークションハウスであるクリスティーズはこの作品の予想価格を800万から1000万ユーロとしていた。この予想価格を下回る落札価格はこの作品が本当にフェルメールのものであるか否かの疑惑が残っていることにある。この価格は本物のフェルメールだとすればあまりにも安く、偽物だとすれば高すぎであることで、クリスティーズはさらなる調査を進めるとしてこれまでオークションを延期していた。
この作品は米国のフェルメール専門家によれば、17世紀のイタリア人画家フェリーチェ・フィチェレッリの、古代ローマ時代の殉教者とキリスト教の聖人プラクセディス を描いた絵画の模写だという。この作品がフェルメールの真作であれば、現存するフェルメールの作品の中で最初期の絵画作品となる。
アムステルダム国立博物館の調査ではこの作品はフェルメールの若かった頃の作品だとしている。DNAテストの類で行った調査でも白い絵の具が別の作品と同じものであると裏付けられている。
しかしながら、フェルメール作品を多く蔵するマウリッツハイス美術館の前館長は筆の使い方などからこの作品真偽に疑問を呈している。2010年に同美術館で行われた「若かりし頃のフェルメール展」にもこの作品は展示されていない。