ユトレヒト市、独自の貧困対策開始

インフレそして光熱費の上昇で多くの人が経済的に困難な状況に陥っている。貧困層だけでなく低・中間所得層も影響を受け、購買力低下を招いている。フードバンクに並ぶ人は以前は低所得者がほとんどだったが、最近では中間所得者も混じっている。政府はやっと重い腰を上げて光熱費の上限設定や貧困層への財政援助などを始めるが、それに先立ちユトレヒト市では独自の支援対策を打ち出した。

政府は先の予算案発表で、一時的な医療費補助や一時的な燃料税の引き下げ、そして最低賃金の引き上げなどを約束した。実際の実施は2023年1月となる。しかしユトレヒト市は、来年までは待てないとし独自の対策を実施することを決定した。

まずは1月までの間に700万ユーロの特別歳出で市民の財政援助を行う。最低賃金から150%までの所得者に対し一律1300ユーロの光熱費補助が出る。独身者の場合には月額所得が1900ユーロから2600ユーロの人がこの適用範囲に入る。生活保護を受けている人には、申請なしでこの金額が振り込まれる。それ以外の人は申請をする。「これによりこれまで国からの援助を受けていなかった人にも、補助金支給が可能となる。」とユトレヒト市。
また同じ層(最低賃金の150%までの所得あるいは生活保護)世帯の子どもたち2000人に対し、衣服費として150ユーロが支給される。

ちなみに昨日欧州委員会が発表した統計によれば、オランダはEU内で貧困防止のために十分な社会扶助を提供している唯一の国となっている。他国の援助は基準を下回っている。約 9,500 万人の EU 市民が貧困または貧困の瀬戸際で生活しており、EU の人口の 20% に相当する。

オランダの社会扶助は欧州で最高