オランダ2016年度予算発表、財政赤字削減、購買力向上

9月第2週の火曜日は、プリンシェスダッハ(Prinsjesdag=Prince's day)と呼ばれる来年度の国家予算を発表する日である。予算発表の前に国王は金の馬車で行進し、ハーグの国会にある騎士の間にて演説を行うのが伝統となっている。15日に行われた演説では、ウィレム・アレクサンダー国王は、オランダの経済回復を賞賛したが、まだ高いレベルにある失業率について懸念を示した。さらに社会の過激化と分極化についても警告を発し、欧州に押し寄せる難民については人道的な解決を望むと述べた。

政府の予算案では、経済成長率は2015年は2%、2016年には2.4%を見込んでいる。さらに財政赤字は削減の努力が実り、2016年にはこれまでの国民総生産高の2.3%から1.6%まで下がると想定している。

以下は予算案の概要である。

− 個人の所得税は一般的に減税。給与生活者にはプラス。
− 国民年金(AOW)への課税も下がるため、年金生活者にはプラス。
− 年間所得66,000ユーロ以上に最高課税率が課せられる。
− 保育所へ子供を預ける人には補助金が増額される。平均月額5%増額。
− 低所得者には養育費補助が支給される。子供2人以上には補助率がさらに上がる。
− 父親の産休がこれまでの2日から5日へと延長される。
− 資産への課税は場合によって増額となる。21,330ユーロから100,000ユーロまでの資産に対しては金利を4%とみなし、この想定金利に対して30%が課税される。
− 40歳以下の人が不動産を購入する際に、親から100,000ユーロまでは無税で贈与を受けられる。
− 保険の自己負担金額は375ユーロから385ユーロまで引き上げられる。
− 医療保険料は平均7ユーロ値上げ。
− 政府は、オランダに住む80%の人の購買力が平均2.6%向上すると試算している。独身者や最低賃金者ではこれが5.3%の上昇。年金生活者や生活保護者では若干の上昇が見込まれている。