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続く人手不足、人工知能(AI)で解決か?
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終わりの見えない人手不足がオランダの経済を悩ましている。とくに医療介護やIT部門での人手不足は深刻だ。これを人工知能(AI)が解決できるのではと、すでに取り組みが始まっている。

アペルドールンにあるホームドクター診療所では電話が鳴る回数が減っている。ドクターのアシスタントがAIのアシスタントを使っているからだ。24時間いつでもチャットボットが患者の相談に乗っている。まず症状を聞き、それから詳細をシステムに記入する。これだけでもアシスタントの仕事は大幅に減る。

また高齢化するオランダでも診療の予約が埋まっている。ホームドクターのデッカー医師は、「医者と話そう。(Praat met de Dokter)」というチャットボットを開発した。このチャットボットでシンプルな質問や疑問はシンプルに答えられるという。それ以外の複雑な症状には、診療時間を多くとる。デッカー医師は、AIが医療介護界の人手不足の解消に少しは役立つと見ている。とくに事務関連では大きく貢献できそうだ。

ChatGPTを開発したOpenAIによれば、AIが取って代わることができるのは、数学、税務アドバイス、財務アナリスト、ライター、ウェブデザイナーの業務などが含まれるという。AI導入でこれまでの労働市場が大きく変わることは必至だ。突然バーチャルなプロのアシスタントが自分の横に座るということが起きるだろう。

コンピュータのプログラムコードも書けるというAIで、プログラマーの職がなくなると憂いている人もいるが、逆にAIにコードを書かせるという視点で業務を行うというソフト開発会社コードレス社はこの動きを歓迎している。同社は実際に生産性が驚くほど上がると見ている。

AIに仕事が取っていかれ職を失うことを恐れる人が多い反面、AIが職を増やすと見る調査結果もある。(World Economic Forumの調査) 今はホームドクターがAIを利用しているだけだが、これが多くの医療現場で利用されるようになることは確実だ。これにより軽減された労働で新しい分野の開発が進むのであろう。また、AIを教育するという仕事や、さらなるイノベーションを生むための仕事が、今後重要となるだろう。


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学校の宿題に人工知能(AI)を使う学生急増
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12月末に公開された高度なテキスト作成人工知能(AI)を使い、宿題やレポートを提出する学生が急増している。このAI「ChatGPT」は、課題を入力するだけで、高度なテキストを一瞬のうちに生成するというもので、無料で使用が可能だ。言語も英語、オランダ語だけでなく日本語などに対応している。

このChatGPTが登場するまでは、Googleなどの検索機能を用いて文献をコピーするということがしばしば行われていた。学校や大学側ではソフトウェアを使用し、コピー・ペーストしたものかどうかを探ることができた。しかしChatGPTを使えば、どんな文体でどんな内容のテキストを作るか指定できる上、オリジナルのものを作成できる。このため、学校では宿題やレポートが生徒や学生の独自のものなのか、それともChatGPTを使ったものなのか判断ができない。

オランダ国営放送NOSのインタビューに匿名で質問に答えた高校生は、「宿題を短時間でこなせる。教師は僕が自分で書いたのかAIが作成したのかを区別できない。」と答えている。

これまでのコンピュターは問題を解くのが使命だった。しかしAIは人間の代わりに考える。
学校側は今の所このChatGPTに打つ手はない。しかし、ChatGPTや他のAIを使用したテキストを検知する別のソフトが開発されることを望んでいる。

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