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穀物と砂糖の原料価格低下、スーパーの価格にも反映?
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ここ1年半、物価は上昇し続けてきた。しかし長くて暗いトンネルもようやく終わりが見えつつある。一部の商品の価格は下がってきている。

ここ1年で食品の価格は15%上がっている。ここ数ヶ月での値上がりも著しい。いわゆる必需食品であるパンなどの価格は1年で22%の値上がりが記録されている。

ただ、最近では食品原料の穀物や砂糖の価格が下がっている。これが続けば食品価格にも反映されるはずだ。穀物価格の低下は、穀物を餌にし飼育している肉や卵の価格にも反映される。また最近ようやく価格が下がりつつあるのが乳製品。バターは1.4%下がっており、マーガリンや豚肉も同様だ。

ただし原料価格の下降が食品価格にすぐに反映されるわけではない。光熱費そして人件費の値上がりで、原料価格の低下分もカバーされにくい。

原料価格がスーパーマーケットの製品価格に反映されるのはいつごろなのか?専門家によれば、製品によって違うが3−4ヶ月はかかりそうだ。「ロケットのスピードで価格は上がり、パラシュートのスピードで価格は下る」らしい。

価格の低下はあるものの、ウクライナ戦争以前の価格に戻るということはない、というのが多くの専門家の意見である。ただし、先の見えない値上がりにはストップがかかりそうだ。


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インフレやや収束するものの食品15%の値上がり
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日常の買い物がますます高くなっている。エネルギー価格の低下でインフレはやや収まっているものの、食品の価格は15%も上がっている。オランダ中央統計局(CBS)の発表によると、3月のインフレ率(昨年同時期比)は4.4%と2月の8%と比較しやや下がっている。インフレの比較対象となった昨年の3月はウクライナの戦争が勃発しエネルギー価格が暴騰したときだ。

月ごとの比較でも価格は上昇し続けており、3月は2月に比べ0.2%上がっている。とくに食品価格の高騰が目立ち、1年前に比べると15%も上昇している。2022年の秋からの食品価格の上昇は顕著である。とくに乳製品、コーヒー、菜種油、パン、米、肉の値段が大幅に上がっている。調査会社GFKの調査によれば、1年半の間での食品価格の値上がりはなんと30%近い。

この食品価格の高騰は欧州全土で問題化している。ドイツでは食品価格が1年間で22%も高騰している。欧州中央銀行はこの価格上昇を懸念し、インフレ抑制のため金利の早急な上昇を図った。

小売業界は2月の売上が昨年同月と比較し8.5%上昇している。この売上上昇は価格の値上がりを反映するもので、実際の取引高は2.9%下がっている。
この値上げで貧困家庭だけでなく中所得者家庭も生活が苦しくなっている。

超インフレ時代、貯蓄?ローン返済?何もしない?
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オランダそして欧州では10%を超えるインフレが続いているが、いったいどうしたらお金を失わないか、将来に備えられるか? という疑問は誰もが持っている。株式投資や不動産投資は過去のものになりつつある今、債権投資か預金か? この疑問に「お金ガイドGeldgids」の編集長が答えている記事をVolkskrantから一部引用する。

10%のインフレ時代に0.25から1.3%の利子で貯金するのは馬鹿げているように見える。インフレが資産を食いつぶすからだ。ただ、ボイラーも車もインフレで高くなる一方なので、貯蓄をするのも一理ある。将来の出費に備え貯蓄である。

さてローンの返済だが、これは急ぐ必要はないというのが、この編集長の見解だ。とくに現在年利2%程度を払っている人はそのまま置いておくほうがいい。高金利になったときに手元に貯蓄のバッファーがあるほうがいいらしい。ただし、固定金利がいつまで続くのかをしっかり見直したほうがいい。今後金利が上がると、それが下がるまでにはかなりの時間がかかる。

光熱費やエネルギー費も長期的視点で見たほうがいい。今年から上限制となるので大抵の人は光熱費が下がる。しかし、2024年からはまた上がる可能性は大きい。ガスのコストが下がっているとはいうものの、来年からはまた月に50−100ユーロは上がるはずだ。まだ行っていない人は、毎月の請求額からエネルギー供給業者が現在差し引いている金額を見たほうがいい。金額は正しいか?特に光熱費を節約している場合は、実際よりも使用量が多すぎる場合がある。毎月の金額を減らし、利益を普通預金口座に入れ、定期的に消費を追跡するのがいいという。そうしないと、エネルギー供給業者が倒産した場合に、お金を失うリスクがある。

将来の支出を検討することは有益だ。今後数年間でどの電化製品、輸送手段、家具を交換する必要があるか、家の維持費はいくらか、休暇などのどの費用を節約したいか? 概要を把握したら、経費を計画し、固定費を節約する。テレビ、電話、インターネットのオールインワン パッケージや保険料は、消費者協会やインデペンダーなどの比較サイトで確認できる。

必要に応じて、Warmtefonds.nl からのローンを利用して、家庭のエネルギー効率を高める計画を​​立てるのもいい。今年はソーラーパネルに付加価値税を支払わず、すでに断熱対策1件分の補助金を受け取ることができるはずだ。住宅のエネルギー ラベルを改善することに成功した場合は、投資を 2 回回収できる。エネルギー コストの削減と、住宅の売却によるものだ。F または G とラベル付けされた家は、売るのが難しいためこれを改善するための投資をすべきだ。
どういう対策をするのも、なにもしないよりはましだという。

インフレ減速するなか、食品は軒並み値上げ
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オランダの11月のインフレ率は11.2%だった。たしかにこの数字は高いものの、過去数ヶ月に比べると減速している。ただ、食品、アルコールそしてタバコは昨年比で大幅に値上がりしている。インフレ率は先月に比べると5.6%下がっている。中央統計局(CBS)によると、エネルギー費が下がったことが要因だという。

10月にはエネルギー費は昨年同月と比較し100%上がっている。それが11月は40%の値上げに留まった。「もちろん上げ幅は高いが、他の月に比べると低い。」とCBS.

昨年からエネルギー費は大幅に値上がりしている。しかし、値上がりの幅は下がっており、ガソリンなどの車両燃料費はだいぶ安くなっている。

光熱費の上昇が減速し、全世帯が補償金を受け取るなど、一時のショックは薄れつつあるものの、食品などの毎日の買い物にはほとんど影響はなく逆にかなりの勢いで上がっている。



世界最大の半導体チップ製造ASML, 不況もインフレもどこ吹く風
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半導体チップ製造機械メーカーであるオランダのASMLの第3四半期の業績は期待以上だった。世界的なインフレ、景気後退への恐れ、消費者信頼度の劇的な低下などにもかかわらず、同社の売上はさらに記録を更新し続けている。

ASMLは、フェルトホーフェンに本部を置く半導体製造装置メーカー。半導体露光装置を販売する世界最大の会社で、16カ国に60以上の拠点を有し、世界中の主な半導体メーカーの80%以上がASMLの顧客である。
売上高は 当初の予測である51億ユーロを大幅に超え、58 億ユーロに達している。さらに利益率は第 3 四半期でも約 52% という夢のような業績を達成している。CFOのダッセン氏によると、不確実性は数か月前よりもはるかに大きくなってはいるものの、顧客が一斉に脱落する原因となる極端な開発が行われない限り、グループは2023年もこの状況は続くと確信している。

また、世界中の政府がチップ生産を他国に頼らず、自国で行いたいと計画していることも追い風となっている。その結果、より多くのチップ工場が建設されることで、ASML は中期的に利益を得ることができる。またコンピュータ チップが世界的に不足していることからも恩恵を受けている。

IMFのオランダ経済予測、インフレと成長止まり
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国際通貨基金(IMF)は、オランダは来年も物価上昇が続き、経済成長は止まると予想している。今年のオランダの経済成長は4.5%と見積もっているが、来年は0.8%へと減速する。今年のインフレは12%と高く、来年も8%程度になると予測している。

IMFの予測は、9月にオランダの中央計画局(CPB)が発表したものよりも悲観的だ。CPBによれば、来年のインフレは最高でも5.5%だとしているが、ガス価格にも大きく左右される。

世界的にも成長は鈍化する。ヨーロッパにおけるガス価格の高騰、ウクライナでの戦火が世界経済に影響を与えている。さらに黒海協定での価格協定にもかかわらず、戦争は穀物価格を押し上げている。そしてウクライナ紛争だけでなく、中国の経済状況も世界経済に逆風となっている。中国政府はコロナによるロックダウンを続けており、昨年の巨大不動産会社エバーグランデの倒産以来、不動産市場も悲惨な状況だ。

経済の後退はヨーロッパだけではない。IMFは米国と中国の経済の悪化も懸念している。「最悪な状態はこれからやってくる。2023年は景気後退となるだろう。」とIMF。「政策立案者は市場の安定を確保しなければならないが、中央銀行は金融政策をインフレ抑制に集中させ続けなければならない」としている。

このIMFの発言はオランダ中央銀行のクノット頭取の声明と結びついている。彼は政府のエネルギー上限政策に批判的だった。クノット氏 はこの上限政策で支出が増加し価格をさらに押し上げる可能性があるという。欧州中央銀行にとって、上限政策を行わ買った場合よりも少し金利を引き上げる必要があることを意味する。
(画像:IMF)

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