昨日発表された2023年度世界幸福度レポート(World Happiness Report)によれば、オランダは世界で5番目に幸福度が高い国にランクされている。最も幸福度が高いのはフィンランドだ。幸福度を測る基準は、GDP・平均余命・寛大さ・社会的支援・自由・汚職レベルの6項目。必ずしも経済的に恵まれていたり、天気がいい国の幸福度が高いわけではない。
2023年のトップ5は、フィンランド、デンマーク、アイスランド、イスラエル、そしてオランダである。これとは逆に順位が低い国はアフガニスタン、レバノン、シエラレオネ、ジンバブエ、コンゴとなっている。日本は47位である。オランダは幸福度が最も高い国のひとつだが、幸福度が高い人と低い人の差が最も少ないことが特徴だ。経済的格差はあるものの、主観的な幸福度は似たりよったりだと言える。
世界幸福度レポートとは、国際連合の持続可能開発ソリューションネットワークが発行する、幸福度調査のレポート。この調査における幸福度とは、自分の幸福度が0から10のどの段階にあるかを答える世論調査によって得られた数値の平均値であり、主観的な値が含まれる。
基本となるのは以下の数字である。
・人口あたりGDP(対数)
・社会的支援(ソーシャルサポート、困ったときに頼ることができる親戚や友人がいるか)
・健康寿命
・人生の選択の自由度(人生で何をするかの選択の自由に満足しているか)
・寛容さ・気前の良さ(過去1か月の間にチャリティなどに寄付をしたことがあるか)
・腐敗の認識(不満・悲しみ・怒りの少なさ、社会・政府に腐敗が蔓延していないか)
国連の調査によればオランダ人は
世界で5番目に幸せな国民だ。この地位は依然として変わっていないが、年齢層によって差が出ている。最新のオランダ中央統計局(CBS)の調査によれば、若者の81%が「いつも幸せ」だと答えている。確かに高率ではあるが、1997年にはこの数字は91%で、すべての年齢層の中でも最も幸せだった。今では、各年齢層で幸福度が低い部類になってしまった。
若者の幸福度の後退はここ数年目立っている。CBSによれば、おそらくコロナ禍によるロックダウンの影響も大きいという。
昨年の初め、オランダ人の成人の80%が人生に満足しているという結果が出た。これが第2四半期には83%そして第3四半期には85%へと上昇した。この上昇傾向は続くとCBSは見ている。満足度と幸福度は若干違う。幸福度は感情であり、満足感は合理的な事項である。調査に使った質問では、「どの程度自分を幸福な人間だと思うか」そして「今の生活にどの程度満足しているか」と分けている。
人生で社会的なつながりが最も重要な若い世代にとって、コロナ禍下の外出制限はメンタルな打撃を与えたことは明らかである。これが幸福度に影響している。ただ若者の幸福度下降はコロナだけが影響しているわけではない。2015年の教育改革で、奨学金が廃止され学生は多大な借金を背負うことになる。また学業期間にも制限がつき、早く卒業しなければならないというプレッシャーが若者を苛んでいる。仕事での成果への圧力も高まっている。
若者の幸福感が下降しているのに対し、55歳以上の人たちの幸福度は上昇している。CBSによれば、高齢になっても健康が保たれていることや、55歳から75歳(とくに女性)の労働参加率が高いことによる所得や年金が上がっていることが要因だ。
ユニセフ(国連児童基金)の調査による子供の幸福度では過去にもオランダは世界一であったが、今回の先進国41カ国の子供を対象にした調査でもまた首位となった。オランダに続くのがデンマークとノルウェーである。ユニセフ・イノチェンティ研究所が9月3日に発表した「レポートカード16」の調査結果である。
子供の権利を守る国連機関であるユニセフは、各国で精神的そして身体的な健康と社会的そして学力(スキル)を調査した。ほとんどの国で80%程度の子どもたちが自分の生活に満足しているという結果が出ている。この満足度で見るとオランダの子供が最も高いスコアをあげている。メキシコとルーマニアがそれぞれ2位と3位。これに対しトルコでは満足しているという子供は53%にすぎなかった。
ユニセフによれば肥満が子供の健康で一番問題となっている。オランダでも4分の1の子供が太り過ぎだ。世界では5歳から19歳の子供と青少年の3分の1が太り過ぎという数字も出ている。
また学校での成果が求められることも近頃オランダの子どもたちの問題となっている。ユニセフ・オランダの所長であるスザンヌ・ラズロさんは「最近オランダで行った調査から児童・生徒が学校のプレッシャーから多大なストレスを感じていることが明らかになっている。」と、これまでのオランダの教育に関する「神話」とはかけ離れた結果を語っている。またコロナ危機もこのストレスをさらに強める結果になっている。「児童・生徒は、このコロナ禍で精神的なプレッシャーを感じている。」とラズロさん。ユニセフは世界中の政府に対して、コロナ対策を決定する際には、子供たちのことも忘れないでほしいと呼びかけている。
ちなみに日本は、精神的幸福度37位、身体的健康1位、学力スキル27位。詳細は、
ユニセフ報告書「レポートカード16」発表, 先進国の子どもの幸福度をランキング(日本語)
3月20日に発表された世界幸福度調査「World Happiness Report 2019」の結果で、オランダが世界156各国で5位へ(昨年は11位だった)と上昇した。この調査における幸福度とは、自分の幸福度が0から10のどの段階にあるかを答える世論調査によって得られた数値の平均値。これに加え、この幸福度を、GDPや健康寿命を含む6つの説明変数を用いて分析している。(1)人口あたりGDP、(2)社会的支援(ソーシャルサポート, 困ったときに頼ることができる親戚や友人がいるか)、(3)健康寿命、(4)人生の選択の自由度(人生で何をするかの選択の自由に満足しているか)、(5)寛容さ(過去1か月の間にチャリティ等に寄付をしたことがあるか)、(6)腐敗の認識(不満・悲しみ・怒りの少なさ、社会・政府に腐敗が蔓延していないか)の6つである。
このランキングでトップとなったのはフィンランド。ノルウェー、デンマーク、アイスランド、そしてオランダがこれに続く。寒く暗い冬を過ごさなくてはならなくても、幸福度は高い国々である。
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