オランダ首相、過去の奴隷制度に謝罪

19日、オランダのルッテ首相は250年間に渡るオランダによる奴隷制度を正式に謝罪した。2億ユーロを差別問題や奴隷問題のプロジェクトに、そして270万ユーロを奴隷博物館の建設に費やす。この謝罪は一方で「全くのナンセンス」と批判する人もいる。

オランダの黄金時代の繁栄は奴隷貿易によって築かれたといっても過言ではない。17世紀から19世紀に渡る250年間の間、オランダはアフリカやアジアから約60万人の人を買い取りアメリカ大陸で奴隷として売っていた。これはヨーロッパ人による奴隷売買全体1200万人のうちの5%を占める。オランダは当時アフリカから人を買い、南アメリカのスリナムに運搬した。ほとんどの人たちはスリナムのプランテーションに売られ、奴隷として強制労働に駆り出された。

オランダに住むアフリカ系、カリブ系オランダ人のほとんどが奴隷の子孫だ。このうち70%の人は今回の謝罪を肯定的に受け、非常に重要だと考えている。
奴隷制度研究所のノーイトミア所長は、「記念碑や研究そして謝罪は単なる飾りとしてあってはならない。」と述べている。

オランダは2020年から有色人種や移民への差別問題が浮上している。例えば警察内での黒人差別や、税務署による納税者への人種差別、二重国籍者への子ども手当請求の不当な処罰などが明るみに出た。またシンタクラースの従者を黒人にすべきだと主張している人も少なくない。

さらに、謝罪は安っぽいジェスチャーに過ぎないと断言する人もいる。「最近では過去の歴史を謝罪するのがトレンドになっている。自分がやっていないことを謝罪するのはある意味ナンセンスだ。もし奴隷制度を謝罪するなら、18世紀にオランダを征服したフランスもオランダに謝罪するのか? もしこれが当たり前なら、アメリカはほぼすべてのことに謝罪しなければならないはず。」と歴史家ファン・ロッサム氏は皮肉っている。

皮肉的な批判はあるものの、今回の謝罪が今後のオランダでの差別撤廃に繋がり、オランダの特徴である寛容精神が復活することを期待する。