オランダ難民受け入れ危機、混乱に誰も手を差し伸べず

オランダ北部フローニンゲン州にあるテル・アペル難民収容センターでの混乱が問題になっている。シリアやアフガニスタンなどから戦火を逃れて難民となった人たちは、オランダに到着するとまずこのテル・アペルに集められる。ここで正式な難民申請を行うのだが、ここ数ヶ月、収容体制が整わず数百人が屋外で寝泊まりするなど非人道的な状況が続いている。シャワーが使えなかったりトイレも不足と衛生状態は最悪で、数日前には3ヶ月の乳児が死亡している。悲惨な状況に業を煮やし「国境のない医師団」も医療従事者を送り込んでいる。

この混乱に対し、関連団体はそれぞれ他の団体を非難するだけという責任のなすりつけが起きている。衛生問題では、赤十字が難民収容組織COAを「人道的な収容をすべき」だと非難。保健所(GGD)は、「我々は収容所内の衛生や健康に関与。収容所外の問題には取り組めない」と外で寝泊まりせざる得ない難民には関与しないとしている。

オランダ難民評議会(VluchtelingenWerk Nederland)は、赤十字の側につき、難民収容組織COAを非難し、「この危機を救える人はいない」と悲観的なコメントを残している。同団体は政府の難民担当副大臣が介入し、COAがもっと必要な物資や人材を増やすべきだとしている。さらに、この収容所があるテルアペル市だけでなく、他の市も協力すべきだと述べている。

混雑や不衛生な環境で感染症が広がる懸念もある。ナイメーヘンのラットバウト大学の感染症専門医は保健所が踏み込むよう提唱している。排水と飲料水を分けることなどが最低条件も満たしていない。
赤十字や国境のない医師団の介入は喜ばしいことながら、政府が傍観していることがこの事態を悪化させており、野党の追求が続いている。