オランダ特有の資産税に対し、裁判所は不当判決

オランダでは貯蓄などの金融資産に対し、みなし資産税が課せられている。実際に預金から得る金利所得とは関係なく、金利4%という架空な利益に対し所得税30%をもとに、一律1.2%の税金が課せられている。現在、限りなくゼロに近い、あるいはマイナス金利で預金をしている人にとって、これは不当な課税であるという声が高い。

ここ数年間、不服のある預金者1万人が、所得がないのに所得税が課せられるのはおかしいと、告訴に踏み切った。そして、ハーグにある地方裁判所は2015年から2018年の「預金に対する資産税」に対し、金利がゼロであるというのに1.2%課税されるのは不当だという判決を下した。同裁判所は、このボックス3と呼ばれる課税は、欧州の人権条約に反するものだという解釈を出した。

税務当局は、50,000ユーロ以上預金がある人達は、預金せずこれを投資に回しているはずだと仮定している。オランダは投資によるキャピタルゲインに対しては課税されないからだ。ただリスクを恐れ投資をせずに銀行口座に預金している人たちも多く、所得がないのに不当に課税されるという不思議な構図が生まれている。

この判決で、裁判所は政府に対し何らかの対処を求めている。しかし、これまでに徴収した税金を払い戻すことは要求しなかった。2019年にも同様な裁判が行われたが、最高裁は預金に対する課税の廃止を求めたが、過去に徴収した税金の返却は必要ないとしている。