人手不足、オープン採用のススメ

オランダの人手不足は深刻だ。50年ぶりに求人数が求職数を上回るという逼迫した状態が続いている。これに対する解決策のひとつとして、「オープン採用」がある。オープン採用(Open Hiring)とは、履歴書や面接なしに採用するという方法だ。

現在オランダの求人数は32万7000人で過去最大となっている。この求人を埋めるにはオープン採用しかないかもしれない。アメリカから始まったこのオープン採用は、オランダでもここ数年取り入れられてきている。利点は、これまでの履歴書や面接でふるい落とされた人たちにもチャンスが与えられるということだ。例えば求人内容に適した実力や経験があるのに、学歴がないという人たち、あるいは外国の名前という理由で書類調査段階で落とされていた人たちも雇用できる。このオープン採用を利用している企業のひとつは大手スーパーの「ユンボ(Jumbo)」だ。この方法で人員は確保できるだけでなく、これまで以上の成果を得ているという。

労働経済専門家のデッカー氏は、「このシステムは多くの求職者にとって喜ばしいもの。実力があるのに学歴や面接で落とされるという人も少なくないからだ。」数週間仕事をして、雇用者と求職者の双方がうまくいくかを試すことが可能だ。

オープン雇用はまだオランダでは多数派ではない。これまでオープン雇用を採用したのは28社。多くの企業がまだ足踏みしているが、試用期間と一時的契約を取り入れれば問題ないはずと、専門家。

社会雇用省もこの逼迫した雇用状況の中、オープン採用を推奨しており、市役所や雇用局(UWV)そして大学でも率先して取り入れるべきだとしている。工場や店舗での従業員だけでなく、専門職などもこのシステムで探すことも可能だ。先の労働経済学者も「実力があるのに、履歴書や面接段階で落とされた人たちに大きなチャンスを与える」と、このシステムを支持している。