コロナでオランダの家庭の貯蓄拡大。過去最大に

社会保障制度が充実しているため、オランダではあまり貯蓄をしない人が多い。ところがコロナ禍が始まって以来、オランダでは1世帯あたり平均6500ユーロ貯蓄が増えている。とくに高収入の家庭での貯蓄は大幅に増加した。大手金融機関INGによる2020年3月から2021年5月までの貯蓄統計によれば、この期間の預金は合計520億ユーロ増加している。この増加は歴史上最大である。

コロナ規制で店舗や飲食店が閉鎖していたこと、旅行に行けなかったこと、美容室やマッサージなどに行けなかったことなどで、国民は支出が大幅に減った。また、政府による雇用支援対策で所得は安定していた。これにより可処分所得が増え貯蓄に回ったのである。

とくに貯蓄が増えたのはすでに資産を多く持つ富裕層や高所得者層である。通常では外食やバケーションに使っていたお金が、コロナ規制で使えず必然的に貯蓄に回っていた。これに対し低所得者層の家庭では必要経費はこれまでとほぼ変わらないため、貯蓄に回す余裕はなかった。

INGの分析によれば、520億ユーロの貯蓄増加分のうち280億ユーロはコロナ規制の影響によるものだという。上記にある外食やバケーションに支出しなかったことも大きいが、将来的に失業するのではないかという恐怖からも貯蓄は増えたと見られる。規制緩和が実施されても、すぐにこの貯蓄を崩して消費するとは考えにくいため、このまま預金額は増えそうである。