旅行代理店が倒産したなら買ってしまおう!?

最近ではオンラインで航空券や宿泊施設を予約するのが当たり前になっているが、それでも特殊な分野での旅行予約は旅行代理店経由という場合も少なくない。例えばダイビング専門のツアーに特化している代理店である。

セバスチャンとロバート・オプ・ヘット・ホフ兄弟が毎年ダイビング旅行を予約していたEWDR(Eigen Wijze Duikreizen自分のやりかたでダイビング旅行)は、今年の6月コロナ禍の影響で倒産した。セバスチャンとロバート兄弟は今年もこの代理店を通じてダイビング旅行を予約していたが、倒産したため先に払っていた料金は戻ってきたものの、旅行に行けなくなった。「たいていの人は返金されたお金で他の旅行を予約している。しかし僕たちはこの旅行会社が好きなので戻ってきてほしいと思った。」と兄弟。そこで2人は相談してこのEWDRを買い取ることにした。兄弟はオンライン・マーケティングで財を成している。

EWDRは30年前に設立され、ダイビング業界では高い評価を得ていた。ただしオーナーの病気や大手代理店による競争力低下で、2019年には160万ユーロの売上があったが、損失38,000ユーロを計上していた。そして、コロナ危機が来て経営は最悪の状態に陥り、今年6月に倒産した。

兄弟は旅行代理店の経験や知識が全く無いが、そのまま仕事を続行する元オーナーについて勉強するという。「キュラソー島へのパック旅行などは、ほぼコスト価格で旅行を提供している大手代理店には勝てない。」と兄弟。「僕たちは、中身で勝負する。単なるリゾート地でのダイビングではなく、例えば南米でワニやアナコンダといっしょに潜るといったユニークな旅行を作りたい。」

コロナ後は旅行業界は復活すると兄弟は信じている。「衝動的に買ったのは確かだが、僕たちには起業精神とオンラインマーケティングの知識がある。」と意欲的だ。管財人によれば、倒産したEWDR購入に興味を示した会社は10社ほどあった。しかし元オーナーは、旅行業界には不案内でも最も意欲的な2人を選んだという。
(画像:PexelsのJohn Cahil Romによる写真)