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オランダ内閣総辞職
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ルッテ第3次内閣は、託児給付金問題で数千におよぶ家族(26,000人)に対し不当な返金請求と犯罪者としてのレッテルを貼ったという批判を受け、本日総辞職することになった。「税務当局、政治家、裁判官、そして公務員がこれらの家族に対し不当に苦しみを与えた。無実の人々が犯罪者扱いをされたことで人生を狂わせた。」とルッテ首相は記者会見で語った。不当な返金請求を受けた人の多くが移民やその家族で、今回の事件で精神的な苦痛のみならず、金銭的な困窮を強いられていた。中には税務署から48,000ユーロもの請求を受けただけでなく、他の社会保障金支給も打ち切られる人もいた。

ルッテ首相は、国会から自転車で国王による総辞職承認を受けるためハーグの王宮に向かった。(写真 BBC)

現在の政府は3月の総選挙まで、コロナ対策を実施するために、暫定内閣としてそのまま残る。ただし、今回の事件の直接の責任者であったヴィーベス(Wiebes)経済大臣は辞任した。


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 ルッテ首相の自転車のブランドは?
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先週金曜日、マーク・ルッテ首相が辞任を国王に報告するため、国会から国王の住居であるハウステンボス(ハーグ)に向かった際に使用したのは公用車ではなく愛用の自転車だった。通勤には自転車を使っているものの、国王への謁見にも自転車というのが国外のメディアの目を引いていた。さて、この自転車のブランドは?

マーク・ルッテ暫定内閣首相の自転車のブランドは、オランダ国産の「Koga」。先週の金曜日の内閣解散報道以来、この自転車メーカーへの問い合わせが引きも切らないという。ルッテ首相の愛用車は「Koga F3」で、3年前に購入したもの。ヘーレンフェーンに本社を置く「Koga」の広報部によれば、ここ数日F3の売上が急増しており、「ルッテ効果」が見られるという。F3は電気自転車ではなく普通のシティバイク。Koga社が首相にプレゼントしたと思っている人も多いらしいが、実際にはハーグのディーラーで1300ユーロで購入したという。「トランプ大統領は150万ドルのビースト車で移動したが、ルッテ首相は1300ユーロの自転車。これほどオランダらしいものはない。」と同社。


本日内閣総辞職でルッテ第3内閣終焉か?
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託児給付金スキャンダルとコロナ危機で政府は崩壊の際に立っている。本日中にも内閣総辞職が決定する可能性が高い。労働党のアッシャー党首が木曜日にこの託児給付金事件の責任をとり辞任したことを受け、おそらく本日金曜日には総辞職が決定するだろう。コロナ危機真っ只中、そして総選挙2ヶ月前の総辞職でオランダの政治は混乱に巻き込まれるのだろうか。

ルッテ首相はまだ(15日朝現在)正式な会見は行っていないが、野党からの辞任の呼びかけが高まっている。社会党と緑の党はルッテ首相はアッシャー氏の足跡をたどって「辞任しなければならない」と声を上げている。

この託児給付金スキャンダルとは、託児給付金を受け取った約26,000人の親が、税務署から不当に請求していたとして2013年から2019年の間、返金と罰金を迫られたもの。実際には不当請求ではなかったことが判明したが、この返済により経済的に困窮しただけでなく、詐欺犯罪者として登録されるという不当な扱いを受けた。責任は税務当局にあるものの、これを見過ごしていた政府に責任があるとして、総辞職を迫られている。

オランダなど「倹約」4カ国がEU復興資金に同意。ルッテ首相も交渉結果に満足
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17日に開催された、コロナ後の欧州経済復興目的の支援策に対する欧州27カ国の首脳会談は、火曜日朝最終合意に達した。オランダなどの「倹約国」4カ国が最終的にEUに対する支援金額の値下げ交渉に成功したもの。補助金額に異論を唱えていたオランダとオーストリア、デンマーク、スウェーデンの4カ国が補助金部分を3900億ユーロとする案に満足し、妥協案を受け入れることとなった。今回の交渉同意についてオランダのルッテ首相は「オランダの利益が保護された包括的で良いパッケージ」だと、これまでのオランダに対する各国の批判や反対を押し切ってきた成果を喜んだ。フランスのマクロン大統領はドイツのメルケル首相との共同記者会見にて、「欧州各国が協力することを示す歴史的な同意」だと今回の同意を評した。

今回の欧州サミットでは、コロナ危機で大きな経済的な被害を被ったスペインやイタリアなどを支援する復興資金7500億ユーロの分配を巡り、フランス・ドイツ等と「倹約」4カ国が対立してきた。当初のEU案は仏独の提案をもとに、内訳を5000億ユーロを返済不要の補助金、2500億ユーロを返済が必要な融資とした。だが財政規律を重視する「倹約4カ国」は自国の負担増をが公平性に欠けると反対。返済なしでは倫理欠如を起こすとして融資を主体にすべきだと主張した。 オランダは、交渉を主導したフランスとドイツに大きな圧力をかけ、各国から「嫌な国」「冷酷な国」として批判を浴びてきたが、これに耐え最終的に合意に達することができた。
最終的には総額7500億ユーロの復興支援金のうちち返済が不要な補助金が3900億ユーロ、残り3600億ユーロが低利融資となる。

ズワルトピート(黒人従者)に関するルッテ首相の見解一転?
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オランダにおける反人種差別デモに関する国会討論で、ルッテ首相はオランダの伝統行事であるシンタクラース祭に欠かせない黒人従者ズワルトピートに関する意見を発表した。オランダの子どもたちにとってクリスマス以上に重要な行事「シンタクラース祭」。スペインから船に乗ってやってくるシンタクラース(聖ニコラス)は白い馬に乗り数人の黒人従者ズワルトピート(黒いピート)を従えている。子どもたちはこのお祭りの期間、毎日プレゼントを貰える。

2013年、国連がこのズワルトピートを人種差別だと批判するという事態が起き、オランダ国内で反ズワルトピート派と伝統を守りたい保持派が対立した。一部の市町村では黒いピートを廃止し、顔を茶色に塗るなどの措置を取ってきた。これまでルッテ首相は伝統を守るという立場を通していたが、今回の米国の警官による黒人殺人事件とオランダにおける反人種差別デモに直面し、ズワルトピートがどれだけ人種差別を煽っているかを痛感したと延べた。シンタクラース祭での黒人が辛い思いをすることをなくしたい。と首相はこれまでの立場を一転した。「数年後には顔を黒く塗ったピートは消え去るだろう。」と首相。ただし政府によるズワルトピートの廃絶や規制は考えていない。

オランダでの(構造的)人種差別は根が深く、税務署などの政府機関、労働市場、そして住宅市場でも公然と行われている。首相はこの差別の撤廃に乗り出すようだ。

ルッテ首相、人種差別反対デモについて言及
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3日夜の渡航規制に関する記者会見で、ルッテ首相はオランダの人種差別反対デモについて言及した。米国のミネアポリスで起きた警官による黒人殺人事件を受け、オランダでもアムステルダム、ハーグ、フローニンゲン、ロッテルダムなどで人種差別反対のデモが行われた。アムステルダムではソーシャルディスタンスを無視した大規模なデモが行われ、市長の責任が問われている。ハーグやフローニンゲンでは1.5メートル規制を守った整然としたデモが行われた。ロッテルダムで昨日行われたデモでは、数千人が集まりエラスムス橋をびっしり埋めるほどの状態となり、市長の解散命令で終了した。記者会見ではこの件について首相が問われた。「デモをする権利は民主主義の基本」であるとし「デモの趣旨は1000%理解できる」とデモに対しては肯定的だったが、まずは1.5メートル規制が優先されるべきで、アムステルダムのデモは無責任であるとの見解を述べた。

さらに首相はオランダの人種差別について「構造的問題」であると述べ、「オランダでも人々は出身国や人種により判断されている。」「アメリカだけの問題ではない。」と見解を発表した。米国で警察官がデモ隊に催涙ガスを発射したりゴム弾を投げている様子について「アメリカの政府に対しコメントは避けるが、この画像はショックである。」と批判した。