オランダのマキシマ女王はZARAがお好き

少し前のヴォーグ・ジャパン誌に、「雅子さま、全身ユニクロで赤十字会議に出席」という写真記事が載っていた。淡いピンクのパンツスーツとおそろいの靴。すべてユニクロでまとめているそうだ。
識者のコメントを見ると、「国民に寄り添った服装」であるとか「美しい人は何を着ても素敵」「全然ユニクロに見えないエレガントさ」といった肯定的なものが目立つ。さらにゴシップ系の雑誌サイトを覗いてみると「首相夫人もさっそくユニクロのコーディネートを披露。でもユニクロに見える。」といった揶揄や「ブランドものもユニクロに見える。いやシマムラか」といった辛辣なものまで、こちらのほうが沸いていた。

というようなことがあったら面白いだろう。はい、上の話は私の夢想です。作り話です。ごめんなさい。
でも欧州の女王やら王女様といったやんごとなき方々ががファストファッション(最新ファッションを低価格で販売するブランド)を身につけるというのは、本当だ。

日本の皇室と関係が深いオランダ王室の象徴的存在であるマキシマ女王は、有名なZARAファンである。ZARAはトレンディな服を廉価で販売するスペイン発のブランドで世界中を席巻している。パリやミラノのファッションウィークで発表されるとその次の日には同じ商品が店頭に並ぶと言われるほどの、商品開発力と流通力に優れている企業だ。

「庶民的である」ということが、権威を嫌うオランダ人に好まれているオランダ王室。
マキシマ女王は5月17日の誕生日にも自分でクッキーを焼いてみんなにふるまった、という写真ニュースがコロナ疲れの国民を癒やした。
ご存知の人も多いと思うが、オランダでは誕生日の当事者が会社や学校にお菓子を配るという風習がある。マキシマ女王もこれに従ったというわけだ。先週にはそのクッキーのレシピまで公開しているという念の入り用だ。

さて、このニュースが流れたあとの5月20日、国王夫妻は障害者ホームを訪問する。そのときマキシマ女王が来ていたベージュのパンツスーツと靴がZARAのものだというのがニュースで紹介された。Harpers Bazaar

マキシマ女王はZARAのファンらしく、過去にも何度も写真報道されている。もちろん、庶民のように全ワードローブがZARAというのではなく、いつもはバレンチノのスーツだけど今日はZARAよ、といった思いがけなさがいいらしい。またゴージャスなマキシマ女王が着るとZARAもディオールに見えるというのがミソなのである。

ヨーロッパの王室でZARAを着ているのは、マキシマ女王だけでない。イギリス王室のケート・ミドルトン妃もときどきZARA派のようだし、お膝元のスペインのレティシア王妃もセール品のZARAを着たりしている。
「美しく気品のある人は何を着てもゴージャス」という声を十分に意識しているのも裏にうかがえる。私がシャネルスーツを(持っていませんが)着たら、絶対ZARAに見えることは確信を持って言えるが。
ということで、マキシマ女王がユニクロで全身を固める日も遠くないかもしれない。
それより、雅子様にZARAを着ていただき、欧州のロイヤルのZARA自慢に参加していただきたい。
(画像:2019年Newroyals)