フリーランスのアーティスト/クリエイターは苦しい時こそ作品を作ろう

こんにちは。映像作家の小倉裕基(おぐら ゆうき)です。ざっくりですが自己紹介をするとライデン在住 / 34歳 / 既婚 / アメリカの映画学部卒 / 東京でフリーランスを3年間 / オランダでのフリーランス4年目 / 国際映画祭入選多数という感じです。よろしくお願いします。

この記事に表示されているビデオをYouTubeに投稿したところ、声をかけていただき、こちらのコラムを書かせていただくことになりました。今回のビデオでは、私のフリーランスとしての初仕事を呼び込んでくれた作品を紹介しています。その作品は”東京満月”という短いドキュメンタリーで、アメリカ留学から帰国して2ヶ月後に制作したものです。当時の私は無職でやることもなくブラブラしているだけでしたが、”東京満月”を自分のwebサイトで公開したら気に入ってくれた方々が連絡をくださり、私の初仕事が決まりました。映像で生計を立てていくきっかけを与えてくれた作品で、「あれを作ってなかったら今はどうなってたんだろう」と考えずにはいられない、思い出深い1本です。

ビデオの中でも語っていますが、私はコロナの影響で3月に予定されていた案件が全てキャンセルになりました。今年1年の生活費の半分以上をそこで稼ぐつもりだったので、被害は甚大。キャンセルが決まったのは2月の終わり頃。冗談抜きで、目眩がしました。

あれから時間が経ち、今ではこうしてビデオや記事のネタにできるほどに立ち直りました。被害を受けたのは私1人ではないですし、仕方のないことだったと前向きに受け入れることができています。

そして何より、私がフリーランスとして生計を立てられるようになるそもそものきっかけが1本の作品だったという事実。それが今の私を支えてくれています。私たちアーティスト/クリエイターは、素晴らしい作品があれば、どんな状況もひっくり返すことができるのです。絶望の中にいても、良い作品を1つでも作ることができれば、来年、来月、来週、もしかしたら明日には笑っていられるかもしれない。こんなに希望に満ちた職種ってなかなか無いと思います。
世界中でたくさんの人々が同時に苦しんでいる今だからこそ、フリーランスのアーティスト/クリエイターは作品を作るべきです。来週の生活すらどうなるかわからないほどに切羽詰まっているなら目先の利益を優先するのも仕方がありません。しかし、しばらく生活するだけの余裕があるなら、迷うことなく作品を作りましょう。

お金の価値は変わります。人脈はいつ消えて無くなるかわかりません。何が起こるかわからない世の中で、私たちを最後に守ってくれるもの。それは作品以外にありません。不安を感じずにはいられない状況ですが、それすらも原動力に変え、共に頑張りましょう。
というわけで、最後に最近の作品を紹介します。欧州5カ国を廻って収録した電子ピアノについてのインタビューをまとめた企業ビデオで、私は監督・撮影・インタビュー・編集を1人で担当しています。