オランダ、これまで税金を払っていなかった多国籍企業、2021年から課税対象に

シェル、フィリップス、アクゾノーベルといったオランダの多国籍企業は、オランダ国内でほとんどあるいは全く税金を払っていない。国内の企業や個人が課税される中、これらの巨大多国籍企業が複雑な経路で税金逃れをしている。これは既成事実であったがこれまで政府は全く手を付けていなかった。

緑の党(GroenLinks)が昨年「シェルは全く税金を払っていない」と指摘したのをきっかけに、政府が法の改定に乗り出すことになった。石油メジャーのシェルは2017年度13億ユーロの利益を上げていたが海外での損失を相殺するというトリックを使い、所得税はゼロだった。

政府は多国籍企業の税逃れにメスを入れることを決定した。緑の党は「パン屋が税金を払っているのに多国籍企業は税金を払わないというのは不公平にもほどがある。しかし今回の政府決定で多国籍企業の税回避も終焉することになった。」と法定化を歓迎した。現在、海外子会社の損失は永久に利益から差し引くことができるが、新法律ではこれに期限をつける。欧州内の子会社の損失は3年まで、そして欧州外での損失は計上できないことになる。

新法律は9月17日の政府予算発表日「王子の日」に発表される。多国籍企業から将来徴収する税金は、個人の所得税負担の軽減に回されることになるという。