スリナムがオランダの農業問題を解決できるかも

今日からオランダのルッテ首相が南米のスリナムを訪問する。オランダの首相が元植民地であったスリナムを訪問するのは14年ぶり。スリナムは南にブラジルと国境を接し、北はカリブ海、大西洋に面する国だ。16世紀にオランダ、イギリス、フランス、スペインの探検家によって探検され、17世紀に入るとイギリス人とオランダ人が入植し、黒人奴隷を使用してタバコ栽培を行った。両国は領有権を巡り争ったが1667年のブレダ条約でオランダはニューアムステルダム(現ニューヨーク)とスリナムを交換しオランダの領有権が確定した。オランダから完全に独立したのは1975年。スリナムの経済は、強く鉱業に依存している。総輸出額に占める鉱物資源の割合は2000年時点で8割に達した。

スリナムのサントクヒ大統領は、ルッテ首相との会談にあたり、オランダに経済援助を求めるだけでなく、スリナムからオランダに提供するものがあると述べている。同国はコロナ禍とウクライナ戦争で大きな経済的打撃を受けている。インフレ率は50%にも上る。ただサントクヒ大統領は「両国が主従関係ではなく、大人同士として協力したい。」とし、「オランダは窒素問題が大きな問題となっているが、スリナムがこれを解決できるかもしれない。広大な土地を持つスリナムは農地を開発できる。その上、最近石油とガス田が発見されたことで、エネルギー問題でも手を貸せる可能性がある。」と話している。農業製品輸出では世界第2を誇るオランダは、窒素排出による農家の削減問題でここ数ヶ月農家によるデモが続いている。