都市に住む若者のステータスシンボル?「ナチュラル・ワイン」

3年ぐらい前から「ナチュラル・ワイン」と呼ばれるオーガニックで添加物がないワインが、都市部で流行っている。とくに都市に住む金銭的に余裕がある若い人たちの間で人気だ。ナチュラルワイン(Vin Naturel)だけを販売する店やバーやレストランも増えている。ナチュラルワインは通常のワインやオーガニックワインに入っている亜硫酸塩が添加されていない。

ナチュラルワインの価格は1本20−30ユーロ。ナチュラルワイン専門のワインショップだけでなく、流行りのサワードウを販売するパン屋などでも売っている。ラベルも伝統的なものではなく、アート風なデザインのものも多い。

10年前にはナチュラルワインを扱う店は10指に入るくらいだったが、現在ではオランダだけで数百軒もあるという。とくにコロナ期間に増加が著しかった。

さてナチュラルワインの味だが、一般的にフルーティで酸味が強いものが多い。また野性的で軽い。伝統的な重厚なワインはカフェやバーでは好まれず、この軽い飲み口のワインの人気が高い。とくに大都市に住むミレニアム世代はこのワインを好む傾向がある。
なぜナチュラルワインがブームなのか? 消費者の環境意識と大きくつながっているようだ。スローファッション、ナチュラル・コスメ、ビーガンといった環境意識の高い人達がこのワインを好む。ここではピュアなもの、環境にいいものというのがキーワードだ。週末にはオーガニックマーケットでオーガニックのチーズやソーセージを買い、ローカルプロダクトを使うレストランで食事をし、ローカルな醸造所でビールを飲み、ナチュラルワインショップでワインを購入するというのが典型的だ。「セルフケア」の一環だという人もいる。

さてナチュラルワインにこだわるのはどんな人達だろうか? クリエーティブな職業につく人たちや、アムステルダム南のオフィスビルで働く裕福な若者。車はテスラといったタイプが目に浮かぶ。ただナチュラルワインはがステータス・シンボルの地位を失うのも時間の問題かもしれない。スーパーマーケットで販売する種類が増えるとともに、一般化し特殊性は消え去る。これは以前のスペシャルビールのときも同じだった。