オランダが開発したソーラー車、やっと商業化に

3年前に太陽光で走る車として脚光を浴びた「ライトイヤー・ワン(Lightyear One)」がやっと製品化され顧客のもとに届けられそうだ。5㎡ものソーラーパネルを屋根に積んだこのライトイヤー・ワンは、1台15万から25万ユーロ(2000万から3000万円)という価格で販売される。
開発開始から3年もかかった事情の裏には、投資や技術面での苦労そしてコロナ危機がある。技術面では白紙の状態から始めたことが、テスラなどのすでに既存のモデルがあった電気自動車とは大きく異る。電気モーター自体が車輪の中に積載されているなど、すべてがゼロからの状態で開発されている。またソーラーパネル自体も車用に開発した。つまり、車生産だけでなくソーラーパネルの生産も同時に始めたのである。

さてこのソーラーパネルによる電力でどのくらい走行できるのだろうか? オランダの夏には約70キロ、冬には35キロ走れる。それ以上の走行は通常の電気自動車のように充電が必要となる。ライトイヤー・ワンは、時速130kmまで出せることが実証されている。

最初のパイオニア・エディションと呼ばれる150台は1台15万ユーロ。150台すべて予約販売済みだ。ただ昨今の原材料不足やインフレでこの価格を維持するのは不可能になっている。おそらくこのあとは25万ユーロで販売することになりそうだ。ただ25万ユーロに値上げしたところでどれだけの需要があるのかは、未定だ。

ライトイヤーは一般の人にも手が届く「ライトイヤー2」という車種を開発計画だ。完成は2024年か2025年になりそうだが、価格は3万ユーロ(約500万円)と廉価。この車はリース会社リースプランとカーシェアリングの会社マイウィールがすでに5000台を予約している。
今のところライトイヤーの競合はいないが、今年初メルセデス・ベンツがライトイヤー・ワンに似たEQXXのプロトタイプを発表している。


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