ガス価格昨年の8倍に上昇、欧州全体で問題化

ガス貯蔵不足の懸念からガス価格がさらに高騰している。欧州の天然ガス価格の指標となるオランダTTFの先物価格が火曜日朝1メガワット118ユーロと100ユーロの壁を超えた。これは1年前の約8倍という驚くべき数字である。

このエネルギー価格高騰で工業製品の生産が縮小されたり、価格の大幅値上げが予想される。企業にとっては深刻な問題となる。消費者も契約の形態によっては、エネルギー費が大幅に上がることを念頭に置いておいたほうがいい。

地震問題でフローニンゲン州にあるガス田がほぼ全面閉鎖されて以来、政府はガス価格は市場に任せていた。このため、ガス代の値上げや不足が懸念されている。欧州全体でもガス在庫は低く、オランダ以外でもガス価格の急騰が始まっている。欧州のガス貯蔵施設の在庫は容量の75%を下回る程度で、この時期としては過去10年余りで最低の水準。天候次第だが、例年は10月末までに在庫の減少が始まる。

欧州のガス代値上げは、ロシアが供給を削減したことが背景にあり、暖房需要が高まる冬季を前に、ロシアが欧州に一段と圧力をかける可能性が高まっている。
ロシア国営の天然ガス企業ガスプロムが10月は供給能力の3分の1しか契約しなかったことを受け、天然ガスパイプライン「ヤマル・ヨーロッパ」を通したロシアから欧州へのガス供給は10月1日には前日の約77%減少している。

スロバニアで行われた欧州トップ会議でも、この天然ガス問題が話し合われた。南欧と東欧諸国は、具体的解決案はないものの欧州全体としての解決策を支持している。これまでは、各国が独自に対処してきた。フランスではガス料金の凍結、スペインではエネルギーにかかるVATの値下げが行われた。オランダではエネルギー税を下げるため5億ユーロの予算が計上されている。