10月1日からエネルギー費、大幅値上げ

欧州のエネルギー市場では前、天然ガスや排出権などが軒並み値上がりし、冬を前に供給不足がますます悪化する兆候が示された。オランダでも供給会社はそろって10月1日から消費者価格を値上げした。これにより、世帯平均で年間数百ユーロが値上がりするはずだ。Gaslicht.comの試算によれば、年間で500ユーロ値上がりもあり得る。

消費者向けエネルギー価格は1年前の2倍となる。これから新規に契約を結ぶ世帯は、電気(3500キロワット時)とガス(1500立法キロ)で年間で数100ユーロ高くなる。昨年政府はエネルギー税を3億7500万ユーロ減税する決定を行ったが、それでも消費者にとっては年間で50ユーロ減るだけで、この数100ユーロの値上げには効果はない。ただし多くの世帯がすでに3−5年の契約を結んでおり、すぐにこの値上げに直面するわけではない。

エネルギー市場の混乱にはいくつかの要素が入り混じっている。天然ガスについて言えば、エネルギー供給会社の仕入れ価格は250%も上がっている。今年の冬と春は寒かったため、オランダ国内の在庫は大きく減少し、さらに国際的な問題がこれに拍車をかけた。例えばアジアでの需要が拡大したことや、新規ガスパイプラインについてはEUとロシアとの交渉が暗礁に乗り上げている。またCO2排出権の価格も史上最高を記録、これが電気料金の高騰につながっている。「ノルウェーからの供給に期待しているが、それでも欧州向けには20億立法メートル程度にとどまり、あまり役に立ちそうもない。」

オランダはこれまで天然ガスを発掘していたため、他国に依存することが少なかった。しかし、ガス田地域の地震問題などで供給が期待できなくなり、エネルギー費は上昇をたどっている。オランダは再生可能エネルギーの普及が遅れており、2019年には全体の6.6%にとどまっていた。政府は再生可能エネルギーへの投資を進めると発表している。