オランダの大企業、コロナ禍で勝者と敗者の差が拡大。

コロナ危機で利益を拡大した企業と多大な損失を出した企業の差がますます拡大している。スーパーマーケット、宅配、IT関連業が売上を拡大しているのに対し、輸送、建設、飲食業はすでに数千人を解雇している。

オランダ企業で業績が伸びているのは、AHなどのスーパー、レストランの宅配をする「Just Eat Takeaway」、あらゆる製品をオンラインで販売する「Bol.com」、そして半導体製造機械のASMLなど。これに対し閉鎖を余儀なくされている飲食店、納品業者であるハイネケンや食品卸売のSligroはコロナ禍で大きな打撃を受けた。旅行者のいなくなったKLMや人材派遣業のRandstadも大幅な売上減少に直面した。

コロナ第一波では、売上が激減した企業はコスト削減のためまず契約社員を解雇したが、現在では正社員の解雇が始まっている。ハイネケンはすでに20%の人員削減。中国市場にベビーフードを輸出している乳製品メーカーであるカンピーナも、1000人解雇した。ING銀行は複数の海外支店を閉鎖し、1000人の従業員をリストラした。KLMは5000人の人員縮小を当初から予見していた。現在3分の1の企業が再編(リストラ)を計画しているというアンケート調査の結果もある。リストラによる収入源と支出の減少がどのように経済に影響を与えるのかはまだ明らかでない。コロナ危機でも上昇を続ける不動産価格が抑制されるのかについても不明だ。

多国籍企業であるユニリーバ(食品や洗剤やパーソナルケア)はこれまであらゆる経済危機に見舞われても成長を続けてきたが、コロナでは様相が違ってきた。洗剤は売上が上昇しているが、在宅勤務によりこれまでパーソナルケアに使用していたデオドラントやひげ剃りなどの売上が落ち込んででいる。もうひとつの多国籍企業であるフィリップスは安定している。ICUで使用される人工呼吸器や監視システムなどの需要が増加しているという背景がある。

コロナ禍が始まってから8ヶ月が過ぎようとしているが、不確実性が経済を暗雲で覆っている。この危機は簡単には過ぎ去らないだろうし、復活にも時間がかかりそうだ。

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