たまにわコラムその4  コート内の慣習やお作法はこうも違う!

テニスにまつわるコラムをまじかながお届けしていきます。

言わずもがなテニスのルールは世界共通ですが、コート内外の慣習やお作法においては逆にずいぶん国ごとに違っているなぁ、と感じることしばしばです。
今回はそのように感じる事柄を大小、思いつくままですが取り上げてみました。
必ずしも全てがオランダと日本固有の違いを表しているわけでもありませんが、オランダでのエピソードを元にした所感です。

【ミックスダブルス】

日本のアマチュアテニスにおいて日本人同士がミックスダブルスをやると、プレーヤー間のレベルなどにもよりますが「女性レシーバーに対して、男性はセカンドサーブの強度でサーブを打つ」とか「男性はハードヒットで女性を狙わない」というような“マナー”がときに存在します。

一方、オランダのミックスダブルスではそもそもそのような“マナー“はありません。

コート上での余計な忖度は不要で、男女ともとにかくやりたいようにプレーする、と言えるでしょうか。
コート上でも“男女平等”ということの現れなのか、個人主義を突き詰めるとそうなるのか、細かい気遣いが面倒だからなのかは分かりませんが、日本との違いは確かに存在します。

【身長】

ご存知のとおり総じて長身の多いオランダ人は、サーブやスマッシュなど「上系ショット」に優位性があるといえそうです。

こぼれ話ですが、わたしが対戦した中で最も長身な選手として身長210cmという方がいました。
しかもその方、聞けば1996年アトランタオリンピックの男子バレーボールで優勝したオランダチームのメンバーだったと試合後に判明。
テニスはバレーのような世界レベルではありませんでしたが、確かにネット前での威圧感たるや「壁」のようでした。
ところが、そのような長身にも関わらずオランダにおける草大会レベルのダブルスでは、ペア二人でネット前に出ていく「並行陣」よりも、一人が後ろでラリーをする「雁行陣」のほうがオランダ人に好まれる傾向があります。

これはわたしにとって不思議なことの一つで、むしろ日本での草大会のほうがダブルスでネット前に出ていくスタイルが定着している気がします。
あれだけネット前で威圧感を与えられる身長があるのにもったいない、と感じるのはわたしだけでしょうか。

【試合後のドリンク】

試合後に対戦相手とドリンクを飲んでから解散する、というわたしも大好きなオランダのテニス文化です。
これは自身でテニスをしない方でも、オランダでテニスクラブに足を運んだことがあればその光景はカフェやバーのコーナーで目にしたことがある方も多いでしょう。

健闘をたたえ合ったり、お互いの自己紹介をしたり、試合の品評をしたりと、試合後の緊張が解けた瞬間ということもあってか、まことにリラックスした時間を過ごせるひとときです。
ドリンクはビールでもコーヒーでも紅茶でもジュースでもクラブハウスのカウンターにあるものを好きに選びますが、「勝った方がおごる」というのがなんともまた秀逸な仕組みです。
テニスクラブ主催の大会はたいてい10ユーロ程度の参加費で出られることも破格と感じますが、このドリンク代でクラブが“稼げる”仕組みなのも実に商売上手だと思います。

日本でもこういう慣習が広がればいいと切に感じますが、残念ながらテニスクラブ文化が成熟していないため、簡単には真似できないだろうと思います。

ちなみに試合後のわたしのお気に入りは「ミルク」と「ショコメル」ですが、これを注文するとたいていのオランダ人には笑われます。